騎士リオン×王子カイル
リオカイ←←←リアラ?


一国の王子、カイル・デュナミスの15歳の誕生日が華々しく開かれた城は、幾千もの人間がワインとともに談笑に花を咲かせ、オーケストラの音楽がさらに会場の雰囲気を創りあげた。

当のカイルは祝ってくれている事に嬉しく思っていたが、複雑な気持ちが表情に影を落とした。

――…15歳
避けては通れない問題がいよいよ訪れてしまったのだ。

母ルーティは息子の行く末を案じ、生涯をともに添い遂げる女性を昨夜紹介してくれたのが、栗色の髪と瞳が白磁の肌によく合う可憐な少女だった。

「……カイル…どうかしたの?浮かない顔よ…?」
「…―リアラ…」

この娘(こ)が、オレの婚約者だ。
昨日出会ったばかりのオレ達の間には、まだ余所余所しい距離がある。

「うぅん…ちょっと疲れただけだから、気にしないで?」
「…そう。それなら休んできたら?」

カイルはそうだねと頷き会場を離れた。
その背中をリアラはそっとカイルに気づかれないように見送り、一人寂しげな溜息を吐き瞳を僅かに伏せた。


パーティーの喧騒を去りカイルが向かったのは、白い薔薇が美しく咲く庭園。
その中心に黒髪が見えて安堵した。

「リオンさん!」

その背中に思いっ切り飛びつこうと両手を広げたが、リオンは軽やかな動きで振り向いてカイルの手を引っ張って胸の中へと抱きしめた。

「どうした…パーティーに飽きたのか?」
「ん…そんなとこ。…リオンさんは?」
「僕は、散歩だ」

そっか、と相槌を打ってから暫く静かな夜風が2人に吹いた頃、リオンがカイルの耳元で囁いた。

「……いいのか?婚約者を放置して僕といちゃついてて」

さぞ、あの少女は今頃憂いでることだろう。

「………リオンさんは、…オレが婚約してもいいの?オレはやだよ!だって…!」

リオンさんが好きだから―とは、リオンに唇を塞がれて紡ぐ術を奪われてしまった。

何度も、何度もしてきた秘密のくちづけ。

まだまだ幼い自身とは比べものにならない程、逞しい力強くも暖かい、大人の腕と胸が恋しくて心が疼いては切なくて。

「愚問だ」

彼の真剣で切ない眼差しに、カイルは静かに微笑んだ。

「…―ずっと一緒にいたいよ…っ」

悲しみに滲んだその願いに、返ってきたのは言葉ではなく唇だった。




――――――――――――
このリオンのどこが騎士なんだか。
ちょっぴりロミジュリを意識してみた。
次はもっとイケナイ感じのリオカイを……とか言いながら、書いてないんですよね私(苦笑)
うん、書きますとも。今度ねι




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