今日は平和だったなぁ。
ちょっぴり物足りない気もしたけど、ハロルドのサンプルにならなくてよかった。うん、平和って実験体にされるかされないかだよね。

と、ぼんやり1日を振り返るのがカイルの就寝前のちょっとした日課でもある。

「まだ寝てなかったのか…」

ちらり、ほんの少しだけ見てからまた読んでいた本に視線を戻し、カイルの髪を片手で撫でる。
旅の時も寝付けなかったら、寝るまで一緒にいて今のようにしてくれて嬉しくて落ち着いて眠れたのを思い出し、あの時はリオンがいつ休んでいたのか気になった。すごく今さら過ぎるけど。

「……リオンさん…」
「…何だ?」
「……いつもありがとう」

寝返ってしっかりと顔を見て言えば、しばらく気まずげに見つめ返した数秒間の次には、突然視界が真っ暗になる。

「ちょ、…リオンさん??」

それはリオンが瞼を強制的に塞いだからだ。

「いいから、…礼を言われる覚えも僕にはない。さっさと寝て明日は早く起きろ」
「あ、リオンさんってば照れてるの?」
「、うるさい」

図星だったみたいだ。
クスクス笑えば黙って寝てろ!と、照れ隠しバレバレでおもしろい。

でもこれ以上からかったら明日の仕返しが怖い、もうここでやめておくのが一番とカイルは結論づけた。


「おやすみなさい、リオンさん…」

「……おやすみ」


どちらからともなく手は握られたまま、しっかりと。



―――――――――――
・・・・。

この子達は一緒に住んでるのか何なのか謎。
とりあえず2人の世界に突入しすぎてスタンの存在が空気になりつつある。




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