少々リオンのキャラが違う
アッシュ→カイル風味


「ダメですよアッシュさん!」

ある雨のそんな日に、この家では珍しい2人の組み合わせにスタンも驚くばかりだ。

「う、うるせぇ!髪くらい乾かせる!!」

根っからの世話焼きとお人好しが相俟って、カイルは頑として譲らないのだから、アッシュにしてみれば自分の髪を他人に乾かしてもらうなど何とも堪え難い状況なのだ。

どうにか逃げ出せないかと思案するも、自身のペースはカイルに飲み込まれる一方である。

「アッシュさんの髪…綺麗ですね!」

とか言うもんだから困った。何でって人は褒められれば悪くないと、素直に反応してしまうからだ。
アッシュもまた然り、眉間に皺を寄せようが口をへの字にしようと言葉は嘘をつけない程、単純だ。

「赤くてサラサラで、…なんかかっこいいです!」
「……そうか」

屈託ない笑みだと思った。
初めて会ったあの時と変わらない少年の姿が目映くて、堪らなく目を背けた。

このままコイツに吸い込まれていくような、危うさをアッシュは心の奥で感じたが、即刻斬り捨てた。
まぁ…理由は黒髪の視線のせいでもある。

「カイル、そんな事しなくていい」

今の今までずーっとだんまりを決め込み眼光のどぎついこと。
リオンはぐつぐつ沸き立つ嫉妬の念に駆られ、それはそれは恐ろしいオーラを惜しまず出している。

リオンの心中曰く、何が楽しくて可愛い甥っ子兼恋人の他の男といちゃつく姿を見なければならないのか、全く持って誠に怒り心頭と眉間の皺を寄せるばかり。

「でも…アッシュさん風邪ひいちゃうよ」
「そんなもの自分でやらせておけ」
「……分かったよ」

渋々諦めてタオルを渡したのを見たリオンの満足げな顔に、アッシュも少なからず思うところはあったが、それよりも礼の一つをカイルに言おうとしたが、タイミングを計算したかのようにリオンがカイルの腰を拘束していた。

「カイル、お前も雨に濡れて体が汚いだろう。僕が洗ってやる」
「な、なな何言って…!変な事アッシュさんの前で言わないでよ…っ」
「変な事?いつもしてるだろ」

カァーっと真っ赤な茹で蛸カイルを都合良くシカトして、引っ張られるがままリオンに風呂場に連れてかれた姿を、残された2人はしばし見送り、最初に口火を切ったのはスタンだ。

「あー…なんて言うか、うん、ごめんな?」
「…ハッ……とんだ甥バカだな」

だが、バカになる気持ちも分からなくもない、とアッシュはタオルを見つめて、苦々しく思った。




――――――――――――
アッシュのキャラがわかりません(笑)
アシュカイは何となく片思い気味になっちゃうんですが、恋人同士の2人も萌える気がします。

そしてリオンは大人気なくカイルを食した模様。
とりあえず洗いっこプレイはもう王道だよね。




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