「…………」

「…こっちを見たらどうなんだ?」

黙り込んで空ばかり見つめるカイルに、痺れを切らしたリオンは不愉快だと目を細めた。


そして、それは唐突に

「―オレ、リオンさんと別れる」


――――は?


今何て言っただろう。
理解するには時間がかかったが、絶対に受け取ってはいけない言葉だ、と。

「考えたんだ…未来の事とか。リオンさんだってあの女の人と結婚して、跡継の子どもを産める女の人と結婚した方がいいよ……だから別れ、!!」

何を…今さら言ってるんだ?このバカは……

あの女と結婚?好きでもなんでもない女と?表面ばかりを見て中身を見たら逃げる奴なんか…
跡継の子ども?そんなのこれから考えようと言ってくれたのはお前だろ?

……未来?そんなのは…

「僕の隣にいて欲しいのはお前だけなんだよ…カイル」

ひゅぅっ。息を飲むその仕草さえ愛おしくて、別れようと言っても尚抱きしめれば離れようとしないお前が、僕は、僕はこんなにも縛りつけてやりたいくらい愛してるんだから。


「お前だけだ。僕に相応しい存在は…」


…だから


「僕と結婚しろ。もちろん、異論は認めない」


これは二度目のプロポーズ。
この世で一番美しいお前の涙を、僕だけが受けとめていける。

愛しい存在がこの腕の中で泣いてくれるならば、――他なんていらないだろう?



そして僕達はまた、誓いのキスをした。







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