カイル救済ルート




「――うおぁ!!」

ハンカチで塞がれた口からどうにかこうにか奇声を出し、持ち前の運動神経と根性や気合いで膝を上に思いっきり上げる。
何をしたかはご想像にお任せします。

「……ぐっ!…ぅあ、…」

ある部分を必死に押さえびしょ濡れの地面で悶絶するリオンは、間抜けかつ滑稽で今ここに自分達しかいなかったのは幸いだったであろう。

しかしそんなところではないカイルも咳をこみながら、呼吸を落ち着かせてリオンの前まで歩み見下ろす。

「………怖かったよ…リオンさんに、殺されるの…」

本当は泣きたくて堪らないけれど、我慢したのは殺されかけた寸前にリオンが微笑みながら泣いていたからだ。

カイルはゆっくりとリオンに目線を合わせてしゃがみ頭を撫でた。

「……ご、めん…カイル!僕はっ…」

あーぁ、2人してびしゃひしゃだ、なんて頭の片隅で思いながら首筋に埋まるリオンから涙を感じて瞳を閉じ、嗚咽で震える身体が落ち着いてくれればとカイルは腕を背中に回した。

「……僕は、怖かった…っ…法に、引き裂かれるかと…思ったら」
「……ねぇ、リオンさん」

呼びかけにゆるゆると顔を離し、リオンは涙を隠す事もなく弱々しく「何だ…」と小さな声で返した。

「テレビか…なんかで見たんだけど、外国なら結婚も出来るんだってさ……だから、…行こう?」

あ、でも高校卒業してからね?と付け加えてリオンの反応を見れば、一瞬黙り込んだかと思えば次第に肩の力が抜け、また大粒の涙が瞳から零れ落ちた。

「……なにを切羽詰まってたんだろうな…僕は」
「…リオンさんってば頭堅いんだもん。オレより頭いいのに」

この湿っぽい空気をどうにかしたくてわざとおどけて言ってみると、リオンはカイルの額と額を合わせて、自嘲気味に笑う。

「…カイル、ありがとう」
「ううん、ごめんなさい…オレもリオンさんの悩みに気づけなかった…だから、泣かないでよ」

殺されるのは怖かった。
けれど、涙をいっぱい流すリオンさんを見て死んでたまるかって、もっともっとリオンさんを愛したいって思った。


――雨空はいつしか晴天に変わっていた。


―――――――――――
ヤンデレバッドエンドからの無理矢理感ハンパないハッピーエンド;;
きっとカイルならヤンデリオンとハッピーになれる……はず。

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