内臓まで達する事の無い凶器は凶器として存在を置く事は出来ないだろ。じゃあこれは何だ。刃物は傷だって持てるだろ。じゃあこれは何だ。彼を殺せない苛立ちから、手にしたナイフ(臓器に傷も付けられない役立たず)を投げた。けれど5ミリ刺さる事は寧ろ称える事が出来るのかもしれない。全身の皮膚を剥ぎ取る事は実現可能な筈だ。あぁ駄目だ。その前に殺されるだろう。むかつく。

そんな彼は絶対的な死への恐怖が俺とはきっと違う。自分が死ぬ恐怖では無く、自分の所為で人が死ぬ恐怖。罪歌の一件で力を好きになれただか何だか馬鹿馬鹿しい事を論理も知らない彼は言っていたけれど。唐突的であるその痛覚からは乖離出来ない事だから仕方が無い。それは意見の逃避。思い込みは所有下には勝れない劣等感でしか無いのだから。

彼が未だに俺を殺せないのはそれ。いくら思考無しの頭でも理性は働くものだ。恐怖なら尚更。例え相手がどんなに人間として底辺だとしても一時的な勢いで手を下した後は絶対的な程重みは来てしまう。相手に思わせる無意識の命乞い。苛々する。


何時だったか『喧嘩も程々にしろ』なんて云われた事があった。喧嘩?眼球すら無い君からは俺達がそんな物に見えるのか。俺とあの馬鹿は本気で殺すつもりでいる。君がどう捉えようが何の興味も無いけれど。今思えば人間ですらない彼女にさえそう見えたのだろう。未だにお互い殺せて居ないのが現状。あいつは殺させてくれない。なんて正当化させて居ただけ。殺そうと思えば殺せる筈なのにだ。


殺す殺す殺す殺す馬鹿みたいに復唱して、殺人未遂を繰り返す。未遂で終わる毎日を繰り返し、気付けば何年も同じ事の繰り返し。このまま無限をループ。何時か食べ飽きる筈だ。もしかしたらもう飽きているのかもしれない。これを日常だと捉えてしまったのだろうか。ぐるぐる落ちる。落下点なんて無いのに。

嫌いだから消したい。けれどそいつの所為で要らない面倒を喰らいたくも無い。唯それだけ。何時か俺は別の奴に殺されるだろうし、あいつも肉体の限界を超えて勝手に死ぬかもしれない。それまでループ。同じ事の繰り返し。現状も環境も捉え方も変わらない。変わった事と言えばそう。俺の中で『大嫌い』と云う単語に別の意味を追加してしまった事だ。唯それだけ。小さな事。それを口に出しても結局は何も変わらないだろう。しかし文字にするつもりも無いのが現実であり、頭の中に閉じ込めたそれは。




愛してる、なんて軽い言葉なんだ












「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -