お題135


ガサガサと目元まで伸びた背丈の高い草を掻き分け踏み倒しながら辺りをひたすら模索していた。何の為にと言われれば、先程から鼻を付く煽て難い腐臭の原因を確かめてみたいと思考したのが行動の発端で、気付いた時にはこうして居た。相変わらず後先考えずの行動は自分の悪い癖で、小さい頃から好奇心に昔から弱く一度気になれば何でもした気がする。

ヒビキを巻き込んで怪我して頻繁に怒られた事も有り、後々後悔するかもしれないと思い留まろうか悩んでみたけれど、始めからそんな気は無かったので足を進めよう。再び足を前に出すと、足元に何かが当たり音を立てた。がしゃり。ktkr!

意気揚々と手に取るとそれは鎖で、金属の表面は錆がこびり付き掌が黒く汚れた。うわぁ、手洗う所有ったかなと鎖を手元に引くと重みがある。何が先に有るんだろう。

どうやら匂いの酷さから原因が有るのかも知れないと、釣りをして手応えを感じた様な感覚に心踊らせた。しかし目当ての物を確認しようにも雑草が邪魔で見ることは出来無い。困った。

なら鎖を引きずり草むらから向けようと来た道を引き返す事にしよう。途中顔を切って地味な痛みを感じたり、草に足を取られ邪魔邪魔と払っている間に舗装された道へ出る。さて、何が釣れるんだろうと鎖が先まで出るようにと夢中で引っ張るとずるずると何かの塊が姿を見せてやっと何なのか理解した。


なーんだ。つまんねぇの


酷くガッカリした。残念。興味が無くなった腹癒せに右足に勢いを付けてそれを蹴り飛ばした。面白いぐらい跳ねたそれは距離の空いた混凝土の上を転がる。その事に機嫌を良くして、追いかけて再び足を引いて蹴り飛ばす。何コレ楽しい!今度は木に衝突して鈍い音を立てて落ちた。もう一回もう一回



「何やってんだお前!」



途端背後からの凄い大声に肩が跳ねる程吃驚して振り返る。瞬間胸元を掴まれ引き寄せられた。視線に入る顔は私の良く知ってる人だった。何だ、怖い人かと思っちゃった。安心したよ。息を荒げてるのは離れた場所から私を見付けて走って来たみたい。また偶然会ったね。こう何回も会うと運命的って事よねー。ところで、そんな怖い顔してどうしたの



「自分が何したのか分かってんのか」

「何が?」

「…、ポケモンの事大事にしろって言ったのはお前だろ」

「ポケモン?うん、ポケモンは大事だよ」

「じゃあ何で蹴った」

「蹴った?あはっ、あれはポケモンじゃないって」

「……は?」

「唯のゴミだよ。死体なんて」





突き飛ばされた。そのまま地面へ尻餅を付いたけれど痛みは無くて、唯吃驚して相手を見上げた。何その顔。そんな表情私は知らない。何でそんな顔してるの。何を怖がってるの、ねぇ。手を伸ばすと叩き落された。どうして何が悪かったの。ねぇ


「赤髪君…?」
「お前、誰だよ」

何言って…言い終わる前に彼は走りだしてしまった。唖然として後ろ姿を見送り一人残った私は動けなくて、その髪色が捉えられ無くなった頃、一体何だったんだろうと立ち上がる事が出来た。いきなり怒り出すんだもん。本当に吃驚しちゃった。


「別に赤髪君が死体になっても蹴る訳無いのに。好きな人の事なんて蹴れる訳無いのにねー」


君もそうでしょ?先に転がる物に同意見を求めたけれど何も返して来なかった。私の事ガン無視ってコトネ。ゴミのくせに!










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テーマ「人外ファンタジー」
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