(軽く学パロ)



「彼、トウヤの事が好きで好きで堪らなくて毎日のように気持ちを伝えているんだけれど、僕の声が届いてないのかなって思うぐらい無視されるんだ。やっぱり気持ち悪いとか思っているのかな。どう思う?」


昼休み。何気なく一人で居たいと屋上に上がれば待っていたように長い髪の相手が居た。何時にも増して真剣な顔で口を開くものだから何を言うかと思えばこれだ。どうして彼なのだろう。別に同性愛者では無いようだし。女性に対して思う事も無いようだから、ただ恋愛対象が彼だっただけの話。しかしどうして相手が私に聞くのか理解出来ない。愚問には愚答しか渡せ無くて、トウヤの気持ちなんて私に分かる訳無い。本人に聞けないのは分かるけれど、どうして私なの。ベルやチェレンにでも聞けば良いのに。確かに正直相手は友達が多い方では無いけれど、いくらでも相手は居るでしょうに。



「だって君と彼は良く似ているから」

「貴方とトウヤが似ているのは分かるけれど、どうして私とトウヤが似ていると思うの」

「うーん。そんな事言ったら、どうして僕と彼が似ていると思うのかな」

「だって似ているもの」

「なら君だって彼に似ているよ」


そこまで言うのならそうかもしれない。不思議と不快には思わなかった。そう、私とトウヤは似ているのかもね。だとしたら、きっとトウヤも私と同じだ。確信は断言出来る事実では無いけれど。貴方がそう言うのなら、きっとそうなのよ。良かったね。おめでとう。そんな心配要らないじゃない。

私は自販機で買った牛乳にストローを差した。お昼ご飯それだけ?と聞かれる。お腹がすいて無いのと言うと、駄目だよちゃんと食べないと、と怒られた。貴方なんか飲み物すら飲んで無い癖に。まぁそんな事どうでも良いのよと話を戻すと、やっぱり似ていると笑われた。何が。


「取り敢えず、心配いらないと思う。嫌悪する人間にそう事言われたら私なら罵倒してるもの」

「本当?僕嫌われて無いのかな」

「大体、良く本人に大好きって言えるよね。普通好きな人には言えないものでしょ」

「え?大好きなんて言ってないよ。愛してるから、愛してるって伝えてる」

「……本当に、Nは凄いね」


兎に角大丈夫よ。ほら、彼が待ってるんじゃないの?早く行きなさいよ。そう言ってストローを口にする。鼻に付く特有の匂い。口後に残る味に顔を顰めた。あぁ、牛乳嫌いだったんだった。何で買ってしまったんだろう。一人後悔するそんな私に気付く事も無く、本当にありがとうと此方に手を振りながら後ろ向きに走る相手に、転ばないように前を向きなさいと声を投げる。何時もより元気よく挨拶を返す背中に思わず笑った。

大丈夫。大丈夫よ。本当にトウヤはNの事嫌いだなんて思って無い。口にしないそれに貴方は不満を感じてしまっているけれど、大丈夫。トウヤもきっと私と同じ。好きな人に好きなんて言えないだけ。でも、私は貴方に好きになって貰えなかったけどね。本当、あぁ、やっぱり違うじゃん。

あぁくそ。本当牛乳不味い。勿体無いけど、意味も無く手の紙パックを振りかぶった。フェンスを楽々と跨いだソレは、何処までも高く飛ばすつもりで居た私から見えなくなるように、一瞬で視界下へと落下した。











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