人気を避けるように意味も無く人もポケモンも通らないような道ばかりを選んで進んで居たら見た事も無いような場所に出た。木々に囲まれるように広く平行に広がった、手入れのされているように綺麗に生え揃った草原。小さな花が所々埋めるように咲いて居て、頭上には絵で描いたような晴天。何て綺麗な所だなんて思った。見た所人の手が加えられたような感じはしない。何て事だ。私だけが知ってる素敵な場所かもしれない!

ふと目にすると、草原の真ん中に見えた白。遠目に見えるが衣類だろう。誰か寝ているみたい。なぁんだ。私以外にも此処を知ってる人が居たんだ。少し肩を落として近寄ると、あまりにも見覚えが有る人で今度は肩が跳ねた。



「N?」



声を掛けても返事は無い。寝て居るようだが、確かに彼だ。何でこんな所に。でも不思議と彼が此処に居るのもおかしく無いような気がした。いや、唯そう思っただけ何だけれど。それでも彼も見るのは久々だ。いつも何処かに行ってしまうから。まぁ、私は慣れ慣れしくするつもりも無いけれど。きっと貴方もそうでしょ?

それにしても、綺麗な顔付き。可愛らしくキスの一つでも落とそうかなんて浮かべて顔を近づけたけれど、寝ている筈の彼が此方を見て居るような気がして顔を背ける。何だか意味も無く恥ずかしくなって、呼吸で上下する彼の胸に額を付けるように、相手が苦しくなら無いように控え目に頭を伏せた。

草の匂いに交じって感じた心地良い香りは彼のものだろう。途端に今、私が彼に触れている状況が嫌に理解出来た。随分女々しい事をするんだな、なんて誰かに笑われてしまう気がしたけれど、もっと彼を感じたくて添い寝をするように寝転がる。此処には私と彼しか居ないんだから、誰も何も言えないもの。少しぐらい良いわよね。けれど更に密着する所か彼から余計離れてしまったように感じて、起きてしまうかもしれないけれど無理やり乗り上げるように彼の胸元へ先程とは違う形で頭を乗せた。


「……あ」


そんな気は無かったとはいえ、耳を当てた所は私の耳に彼の音が心音が届くのは十分な場所だ。寝ているから少し遅めな、ゆっくりとした一定の其れ。へぇ、貴方にも心臓なんてあるんだ。そんな風に思ったのは、あまりにも彼が人間らしさを感じさせ無かったから。何だ、彼だって人間じゃないか。私と一緒で息もするし、こうして触れて居られる。疲れたら休むし、気分が良ければ笑うんだ。私にとってあまりにも遠い彼でも、同じ事はこんなにも会ったんだ。そうだ、彼が知ってるこの場所も、私は知ってる。私と同じ人間。私と同じで彼だって生きてるんだ。なんだ、一緒じゃないか。私と同じで彼だって死んじゃうんだ。





「それは、一緒なのは嫌だなぁ」











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