∴4



「うっせー、邪魔。」

吐き捨てて、勝手に座ってる椅子を下から蹴り上げる。
それでもニヤニヤと楽しそうに笑っているが、こいつは決してマゾなんかじゃない。
むしろ、究極のサドだ。

嗜虐して傍観してかき回して壊して、力で痛めつけて言葉で切り付ける。それを楽しそうにながめ、凍った瞳でわらいつづける。
“お気に入り”だけにベタベタと甘えて絡みつき、他の奴等はただのおもちゃ。
使い捨ての滑稽で愚鈍な道具、としか認識していない。そいつらが呼吸をしていることさえ、配慮しているのか不明。


やめろよ、やりすぎだ。

そう言いたい場面も多いが、言わない。

逆らって機嫌を損ねたら殺される。
言わないんじゃない、言えないんだ。
そう肩を竦めるダチに、ここも弱肉強食とかいう現代社会の一部なのだと思った。

そして、俺は言わない。
言えないんじゃない、言わないんだ。

サドで性悪な王様のリクの、何故か“お気に入り”な俺。
たった1人の、お気に入りな俺。

何を言っても、何をしても、リクは怒らない。
幸せそうにへらりと笑ってまとわり付いてくる。
俺といる時だけ、心から楽しそうな笑顔を崩さない。



だからこそ、怖い。

絶対に、言わない。



[prev] | [next]

back

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -