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なにやってんだ俺。
相手はどこからどう見ても男だった。
それもイケメンなんて言葉が陳腐に思えてしまうくらい極上の凛々しい男だ。

憧れるならまだしも、惚れるってやばくないか。
俺って実はそっちの人間だったのか。

悶々と悩みながら、俺はガタゴトといつもの電車に揺られていた。
・・・だめだ、今日は普段通りに過ごせそうに無い。

一瞬の出会いに、あの不思議な瞳に、完璧に乗っ取られた俺だった。



「あ、また馬鹿が増えたぞーっ」
「麗しのコウちゃんじゃん?」
「コウ、おはよっ。」
「よーっす!」

がらりと教室の扉をあけた途端、笑顔で振り向いた奴等が騒ぎ出す。
偏差値が低く治安の良くない学校、その中でも目立つクラス。
学ランの下の色シャツや頭髪、装飾品、落書きでクラスはいつでも鮮やかだ。

うるせぇよ。朝からぎゃあぎゃあ騒ぎやがって、馬鹿はお前らだ。
そう文句を言おうと思った。
いつもなら、言葉なり手足なりで俺なりの挨拶を返してるところだ。

だけど自分で言うのも情けないが、俺は相当頭は弱い。
登校時間のぐるぐるした思考だけで、既に思考回路はショート寸前。

「…おう。」

おかげで文句も言えなかった。
朝食のエネルギーは全部使い果たしたな、これは。

「あっれ、元気ないね。」

俺の席に勝手に座ってやがった金髪が、にやりと笑って首をかしげる。

喧嘩もめっぽう強ければ、頭もきれるこいつは、とんでもなく性格が悪い。
楽しければ、周りなんてどうでもいいと思ってやがる悦楽主義者。
餌食にされたらそこで人生は強制終了。

つるんでる俺たちのことも仲間だと認識してるか怪しいところだ。
いつ手のひらを返すか分からない、いかれた不良。




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