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え、と小さな驚きの声が聞こえた。

確かに、普通のことじゃないのかもしれない。
会ったばかりのよく知りもしない人間に、連絡先や再会を求められる。

一般常識から考えれば、軽率で身勝手で不審な行動だろう。
だけど、そんなことどうでもいい。

ただ、このまま終わりたくないと思った。それだけだ。
周りも、規準も、今までも、そんなもの関係ない。


「・・・実は今さ、俺もそう思ってたんだよね。」

意外な言葉と共に、にっこりと笑ったコウ。
あぁ、やっぱり“普通”だなんてどうでもいい。

ただ、こいつにもっと近づきたい。





ガタガタと揺られる電車の中。

携帯の画面に映る、ひとつのアドレス。

何という言葉を送ればいいだろうか。
訳も無く考え込む。なかなかに難しい。
だけど、その思案にふけることは、なかなかに楽しい。

画面が急に入れ替わり、メッセージが表示される。

【新着Eメール 一件受信中】

あぁ、もしかして彼だろうか。
だとしたら、先を越されたことになる。
たまらなく嬉しくて、そしてなんだか少し悔しい。


じゃあ、代わりに返信で驚かせてやろう。
俺自身驚いたが、だってこれが俺の本心なんだ。

俺はきっと、彼に恋をしている。


思わず口元が緩んだ俺は、手の中の熱源をそっと握り直した。


Color!
(彩れ!
 彼が居るならば、俺の世界はきっと。)





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