王の結婚は城で盛大に祝われる。
同じ城に住んでいるのだから、隠し通せる訳がない。
ふさぎ込む神子さま。
王様もあまりいらっしゃらない。
どんなにお忙しくとも来てくださっていたのに。
そして、こんな時に限って魔物との争いは激化した。
いや、こんな時だから、なのか。
今まで幾度となく、神子が現れ、魔物と大きく争い、そして和解をしてきた。
廻るときの流れは、各々の事情など気にしてはくれない。
神子さまだって、人間なのに。
―――戦場に、付いていくのか。
「付き人だもの。それにあの方を独りにはできない。」
―――……それは、愛か。
「うん、そうだね。愛かもしれない。」
―――……死ぬのか。
「そういう運命であるのなら。」
―――死んでいいのか、あいつの為に。
「……よく分からない。でもこれが、あなたとのお別れだったら悲しいな。」
―――別れじゃない。別れなどない。言っただろう、傍にいてやると。
「……うん、ありがとう。」
心が凪いでゆく。神子さまにお仕えできて、不思議な声に守られて、今も私は確かに幸せであるのだ。
ありがとう、どこまでも優しい声のあなた。