わんわんわん
 リクエスト「構って欲しいわんこな小平太と構われたくないにゃんこなヒロイン。小平太→→→←ヒロイン。ちょっとツンツンしたヒロインとのやり取りも読んでみたいです(´▽`)そしてヒロインがデレた瞬間の小平太の反応が見たい。」より。
 ツンツンした主人公って難しいですね……。





 座学、手裏剣打ち、兵法などではなかなかに良い成績を修めたが、いかんせん持久走ではダントツのびりっケツ。二十メートルくらいまでだったら一番速いのに。
 そうしていよいよ、私が放りこまれたのは体育委員会である。山本先生鬼か。マラソンマラソン塹壕掘りマラソン塹壕掘り、私の体力では到底無理です。一・二年は滝夜叉丸に抱えられているが、それはまあ当然だ、下級生だから。そんな中、七松先輩によって小脇に抱えられる私だよ。しかも毎回という情けなさ。担がれる場所が小脇であろうとも安定しているので、七松先輩はすごいと思う。あの人は怪物だ。
 七松先輩は何かと私のことを気にかけてくれてくれているため、尊敬している先輩という位置から、気になる先輩→先輩のことを好きなのかもしれない→好きだ、でも来年で卒業されてしまうし……。と気持ちはトントン拍子で駆け上がっていった。うう、卒業してほしくない……。…………先輩、留年すればいいのに。





「今日はお疲れ様!明日は委員会無しな!」
「えっ!?」
「えっ」
「へい」
「ひえっ」
「えっ!?」
「……何だお前ら!」

 憤慨、といった表情で頬を膨らませる七松先輩と、各々の反応を見せる連れまわされてへとへとの私たち四年以下。いけどんマラソンばっかりのこの人がどうしたんだ。明日は休みだと?運動場のはしっこでへたりこむ体育委員に衝撃が走った。


 小松田さんが下さった水筒をみなに配り終えた七松先輩は、当たり前のように私の後ろに座りこんでぱっと足を開いた。体操座りをした私の腰に腕を回しぴっとりとくっついてくるのだが、走ったことで体温の上がっている先輩がくっつくと温石並の暖かさである。走らずに先輩に抱えられていただけなので風が吹きすさぶ運動場は寒かったのだが、今はあたたかい。ほう、と息をついていたところに先程の委員会お休み発言。ばっと先輩を振り向こうとするが、頭の上に先輩の顎が置かれているので、ごりっとえぐられるような痛みだけしか得られなかった。

 俯いて頭をおさえる私を飛び越え、おそるおそる出した滝夜叉丸の声は七松先輩にお伺いをたてていた。

「お風邪でも召されましたか……?」
「私は元気だぞ」

 むすんと頬を膨らませ、胸をぐっとはって七松先輩はそう言うが、動きまわっている先輩こそがいつも通りの先輩であると誰もが思っているはずだ。

 先輩が言うには、単位に関わる課題の提出が今週末の日暮れまでなんだとか。全く手をつけていない課題が中在家先輩に見付かってしまって明日みっちりしごかれるそうだ。そんな恥ずかしいことを臆面もなく後輩にぺろっと話してしまうなんて先輩可愛すぎる。



 昨日はそう言ってたのに先輩なんで私を膝の上に乗せてるんです?肩に顎を乗せてあうあう言いながら口を開閉させるのでとてもくすぐったい。

「あの……先輩やめてください……」
「みょうじもこう言っている。小平太真面目にやれ」
「だって難しいんだもん〜」
「みょうじがいれば私ちゃんと課題するぞ!って言っていただろうがさっさとやれ。何のために私がみょうじを持って来たと思っている」

 私のことを荷物扱いをする立花先輩のお顔がとても怖いことになっているが、七松先輩は気にすることなく、うううーとうめいて私の肩にぐりぐりとおでこをすりつける。逃げだそうにもあぐらをかいた七松先輩にがっちり抱え込まれているので難しい。

 六年生の教室であろうこの部屋には、他にも委員長たちが勢ぞろいしており、それぞれペアになって教えを乞うたり、助言したり。全く進んでいないのは間違いなく立花・七松先輩組だ。主に七松先輩の課題が真っ白だ。

「先輩まず筆持ちましょうよ」
「そしたらなまえからなんかしてくれる?」
「あーはいはい、なんでもしますよ。だから課題終わらせましょう。提出しないと単位出していただけないんでしょう?だったら死ぬ気でやらないと」
「そうは言ってもなあ、難しいんだ」
「だから立花先輩に教えてもらいながらやるんでしょう?頑張る先輩のこと、私好きです。だから頑張っ」
「仙ちゃんここ教えてくれほら早く!」

 先程までとの変わりようにいらっとしたのか、立花先輩は読んでいた本の角で七松先輩の頭を攻撃した。


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