六年全員もふもふ祭り
 もふにんに投票して下さった方がとても多かったので、感謝としてお話ひとつではありますが投下しておきます。六年それぞれの動物は下記のようになっております。

 仙 蔵:キツネ
 文次郎:タヌキ
 長 次:ヤギ
 小平太:狼
 留三郎:柴犬
 伊 作:ハムスター




 どうしてこんな状況になったのか全員で考えていたところ、いわく大人の事情、いわくくせ者が持ってきた秘薬だとか、いわく伊作が作り出したとか。結論としては青いタヌキが持ってきた動物の形をしたビスコイトのせいではないかということになった。
 小平太だけはその菓子を食べることなく難を逃れたのだが、せっかくだからと狼に変身している。四足歩行が難しい、という全員の要望により、小平太は四足歩行の先輩としてコツを教えることとなる。伊作は小さい動物に変身したことも一因だが、チョコチョコ動かれても困るという意見の一致により、指定席は留三郎の頭上となった。意思の疎通をはかれるのが唯一の救いといったところか。

 ちなみに仙蔵は四足歩行での移動を嫌がったため、二足歩行での移動を図ったがあえなく失敗した。現在は寝そべった小平太の腹に乗り上げふて寝をしていた。土の上や草の上に直接寝ころぶことをためらったためだ。移動時はヤギ長次の背中に乗せてもらうことでキツネの姿を享受した。

 どうやって人間に戻るかもわからないまま、人に見付からないような道を選びつつ青タヌキを探すことに決定した。柴犬の頭の上に陣取ったジャンガリアンハムスターは、落ちないようにしっかと毛を掴むことに必死であった。爪を鳴らしながらチャッチャッと小気味よく歩く柴犬の頭の上は良く揺れるようで、ハムスターは尻をプリッと丸めた姿勢でしがみついていた。落ちやしないかとその周りをタヌキがうろつくので、歯を剥き出しにして柴犬が威嚇した。


 食堂の近くまで来てみると、おばちゃんが夕食の仕込みを始めているところだった。お手伝いとしているのであろうピンク色の装束が勝手口にしゃがみ込み芋を剥いていた。人参やら玉ねぎやらも近くに積まれているため、肉じゃがかカレーか……どっちにしろおばちゃんの料理だ、食いっぱぐれたくない。

 狼を先頭にした動物行進はここで終了した。

 ピンクの装束めがけて狼が突っ込んでいったためである。

「……?あっ」

 足音に気付き顔を上げたなまえは包丁と芋を置いて、おばちゃんに一声かけると軽く手を拭いて小平太を招き入れる。押し倒す勢いでとびついてきた小平太を受け止め、胸のあたりをわしゃわしゃしていたのだが、徐々におされ、顔じゅうぺろぺろなめられることとなった。

「わ、ん、んぷ」
「ハッハッ……くぅん」

「あれうらやましい俺も意中のくのたまにやってきていいかな」
「バカモンなまえと小平太は付き合ってるから出来るんだ」

「あれ?おともだち?」

 草陰で一人と一匹の様子を窺っていた五匹であったが、柴犬が乗り出したためなまえに見付かった。全員がびくりと身体を震わせた瞬間に、ハムスターがころりと柴犬の背中を転がり、キツネがつやつやの毛並みのせいでつるりとヤギから滑った。



 結論から言うと、異性に数秒間触れてもらうと人間に戻れるということが分かった。なまえの手に収まっていた伊作が唐突に軽い音を立てて人間に戻ったのだ。そこでとらぶるさせるものかと伊作の首根っこを掴んで引き離したのがさすがの小平太であった。


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