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  Uニクロ2


 勉強なんて後でやる!と嫌がる小平太をなだめすかしつ、課題を少し進めた。課題が全て終わったら思う存分抱きついても良いという約束で、残りの課題はユニクロから帰ったら進める心づもりである。
 ちなみに私は昨日終わらせてしまったので見せてやることも出来るのだが、課題として出される箇所は定期テストに出題される傾向が強い。自分で課題をしてしまわないと赤点をとってしまい、補習の出席を余儀なくされる。そうなると仙蔵のご尊顔が素晴らしく怖いことになってしまうので、課題は自分でやるのがバレー部の原則だ。たまに小平太や留三郎は人のを写したりするため仙蔵がねっとりと叱ってやるのだが、あの二人はあまり堪えた様子をみせないのでどうしたものか、と頭を抱える毎日である。主に仙蔵が。
 定期テスト前になると、いつものメンバーでテスト勉強をするのが常なので、成績優秀者であるい組二人、そして長次はそれぞれマンツーマンで勉強を教えている。仙蔵は留三郎に、文次郎は伊作に、長次は小平太に。大抵、私はぼっちである。さ、寂しくなんかない。最初は文次郎が留三郎に教えていたのだが、この二人は何かと喧嘩を始めてしまうので現在のペアで落ち着いたのだった。
 成績優秀者の得意科目に関しては一人が一度に三人を教えることもあるのだが、注意が分散されるのを良いことに小平太は体を揺すったりペン回しをしたりと落ち着きがなくなる。そしてそんな小平太に与えられるのは大抵私である。体のどこかしらにくっつくと貧乏ゆすりもせず真面目に勉強に取り組みだすので、待機していろということで私も勉強会に参加している。分からないところはみんなに聞けばよいのでとても助かってはいるのだ。
 勉強会の場所はファミレスだったり、学校の近くに住んでいる人の家だったりバラバラである。日本史や古文などの文系科目は習った箇所であれば私も教えられる程度にはあるので、それ以外の科目は仙蔵たちが補完する。残りは寝る前まで小平太の家で勉強したり、私の家で勉強したりと、テスト週間ともなると今までのバレー漬けの日々から勉強漬けの毎日である。まあテストが終わり次第すぐにバレー、バレーの毎日となるのだが。


 小平太の家から自転車の二人乗りで学校近くのユニクロまで来てみると、暑い中、店に入らず駐輪場の隅で固まっている集団を発見した。小平太からの「ユニクロ行こうぜ」メールに返信をしないがまず間違いなく、いつも通りなら全員が集まるのだ。まだ15時にはなっていないはずだが素晴らしい集合率である。伊作を除いた全員が集まっていた。

「あれ、伊作は?」
「そこの薬局でテニス部の買い出しをしてくるようだ」
「もうすぐ来るだろ」
「そうなの?じゃあ私もついでに行ってこようかな。ポカリの粉が確か今日安かったはず」
「…来たぞ」
「…あとで行くわ」

 ガサガサとレジ袋を鳴らしながら伊作が歩いて来ていた。これからお店に入ろうとする人の荷物としてはいささか多いような気もする。私たちは車ではなく自転車で来ているので、その荷物は置くとしたら当然自転車の前カゴくらいしかないわけで。
 留三郎にその辺りを突っ込まれたのか、伊作は「あっ…どうしよ…」みたいな顔をしたが結局まあいいか、というところに落ち着いたらしく普通に前カゴに荷物を押し込んだ。



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