小説 | ナノ


  Uニクロ1


 部活は午前までで終了し、連れだって七松家までお邪魔すると、ちょうど小平太ママさんがご在宅だった。あらあらなまえちゃんこんにちは。ご飯食べていきなさいよといっても素麺なんだけど。なまえちゃん素麺好きかしら。何束食べる?あらっ一束でいいの?うちの子なんて一束じゃ足りないってよく言うのよ食べ盛りでねえ。そういえばあの子が最近勉強してるところ見てないんだけどちゃんと課題とか出してるかしら。なまえちゃん知ってる?
 小平太ママとお喋りしながら素麺を茹で、薬味を刻んだり、茹でたエビの殻をむいたりとお手伝いをしている私の傍ら、制服から私服へと着替えた小平太はリビングでチラシを漁っていたようだ。片付いていたはずのリビングの机には、広げられた新聞とわずかにばらけたチラシが陣取っている。
 ご飯を食べ終えた後にリビングのソファでのんびりしていると、小平太ママはデザートまで出してくれた。涼しげな葛まんじゅうだ。あまり甘くなく、上品な味のそれは冷たい麦茶と良く合う。またたく間にぺろりと平らげると、次はしょっぱいものを…とポテトチップスを出してくれた。至れり尽くせりすぎる。
 「ご飯いただいたんだからちゃんとお礼言うのよ」という母のメールに返信していると、私の携帯がメール受信を知らせる。そのメールは横に座る小平太からで、「これからユニクロ行くけど行くやつは15時にユニクロ集合!」とつづられていた。私には口で言えばいいのに…と思ったが、どうやら前回のメールを引用しこのメールを送ったようだ。いつものメンバーにあててメールは送られていた。

「チラシ入ってたの?」
「ああ。カラーTがな、すごく安いんだ」
「あらほんと。290円って」
「色違いで買おうな」
「多分みんなと色違いとかになるんじゃない?」
「…あっ、そっか…」

 留三郎はTシャツを良く着るから必ず買うだろうし、290円ともなればみんなが数枚は買うのではないだろうか。
 時計を見てみるとまだ14時にもなっていないので、少しのんびりしてから出ていけば良さそうだ。小平太ママの心配していた、小平太の課題を少しやってから出ようかと思う。

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