×Fate/Zero
bookmark


リクエスト【×fate セイバー(アルトリア)なら見た目14,5で、英霊無双したとしても104期とも絡みやすいし(エレンは目を輝かせて尊敬の眼差しを向けてくれそう)、メシウマちゃんのご飯にも釣られてくれるし(ギャップ)話が広がりそう(*´∇`)】


※サーヴァントのステータスについてはよく分かりませんでした。




 アルトリアと出会って約半年、私はウォール・シーナのお店を閉じて訓練兵へ志願した。17歳と少しばかり年かさではあるが、訓練兵志願には問題はなかった。一緒に暮らしていて分かったのだが、彼女はとてつもなく強いのだ。気遣いが出来るし、優しいし、そして不届きものに厳しく、騎士様という言葉がぴったり当てはまる。

 ナマエはマスターなのでステータスが見えるはずですよ。教わった通りにじーっと目を凝らすようにアルトリアを見ていると、ゲームのようにそれが見えたので少しワクワクした。なになに、筋力:A 耐久:A 敏捷:A 魔力:A 幸運:A+ 宝具:A++……。

「……Aになるほど良いパラメータってことよね?」
「そうですね。EXにはじまってAからEまでで、さらに+や−がつきますが」
「……オールA……アルトリアちゃん最強だよこれ!!」
「おや。魔法がないと聞いていたので魔力は下がるかと思いましたが……。さすがは相性で召喚しただけはありますねナマエ。ところで今日の晩ご飯はなんですか?」
「アルトリアちゃん食べるの好きだよね。食べたいもの言ってくれたらそれ作るよー」
「本当ですか!!それでは……」




 一時でもリヴァイに会えなくなるのを承知で私はウォール・シーナを出た。近くにも訓練兵団駐屯地があったようだが、それではすぐにリヴァイにばれてしまうと思ったので、遠くの、ウォール・ローゼ南方面の隊に入団することにした。もちろんアルトリアちゃんも一緒で、道中の警護を買って出てくれた彼女はまさに騎士。男装までしてくれてイケメンとはこのことだとつくづく思った。

 アルトリアちゃんは訓練兵として入団してからというものその力を発揮し続けた。彼女への入団時の恫喝は無く、むしろキース教官はうむ、といった様子で頷いていたくらいだ。華奢なあの身体からどうやってそんな腕力と機動力が?とアルミンくんが心底不思議そうにしていたのだが、よくご飯を食べるからですよ!と力説したサシャちゃんの言葉に誰もが頷く。確かにしっかり食べているけども、あの強さは彼女が英霊だからですとは言えない。

 同郷ということ――とマスター、サーヴァントの関係でもある――でアルトリアちゃんと私、二人で一緒にいるのが普通なのだが、今日は違った。同じテーブルにもうひとグループ、前述のアルミンくん、彼と幼馴染のミカサちゃんとエレンくん。三人とも同い年らしくて、私とは五歳離れている、かわいらしい子たちだった。今日の徒手格闘術の時間に組んだことで、エレンくんがアルトリアちゃんの体術に感動し、ものすごく懐いたのだ。

「なあなあアルトリア、なあってば」
「……、ふぁんでひょう」
「今日の組手でさ、こう、ばっとやって、どんってやったやつ明日教えてくれ!」
「構いませんが……」
「アルトリアちゃん、お話しするなら飲み込んでからね」
「すみませんナマエ。今日のご飯も美味しいです」
「ふふ、よかった」
「あっナマエさん!ナマエさんにもお願いがあるんです!またパン作ってください!!」
「あ、うん。いいよ。ミカサちゃんとアルミンくんも、よかったらもらってくれる?」
「ぜひ」
「うわあ、いいんですか?ありがとうございます!」

 自意識過剰でなければ、この子たちは私にも心を許してくれているのだろう。以前作ったやつのおこぼれをあげただけで、食べ物でこの子たちを釣ったような気がしないでもないけど!アルトリアちゃんの正面に座ってぐいぐい前のめりなエレンくんを、落ち着きなよと引っ張るアルミンくん。エレンくんがはしゃいじゃってどうしようもないって時はミカサちゃんの鶴の一声で止まるし。

 遠目から見ていた時から思っていたがこの子たちは本当に可愛い、じゃなくてバランスが取れている。猪突猛進なエレンくんは主に迷惑をかける方なんだろうけどそれもまだ可愛いレベルだ。まだ12歳だから素直だし、これから引き際や発言の内容について考えだすようになればもう少し発言数も減っちゃうんだろうなあ。少しさみしい気もするけど、ミカサちゃんやアルミンくんはもうちょっとはじけてもいいと思う。

 彼らがどのようにして訓練兵を志願したのかは知らない。だがこの世界は12歳でも兵士として志願出来るのが当たり前で、それをすべての人が受け入れている。いまは涼しい顔をしてご飯を食べているアルトリアちゃんも、この若さで王として担ぎあげられたというのだからほんとうに前時代的すぎる。いや、まさに前時代で相違ないか……。




 訓練兵たちにもお休みの日はある。訓練ばかりしていれば疲れが出るだろうし、一週間に一回と、お休みの日は決まっていた。教官たちも毎日毎日大変だし、どちらかというと訓練兵の、というよりは教官たちの休日だろうか。
 実家に帰るには遠すぎるのでお休みの日、私とアルトリアちゃんは実家通りの行動で休日を消費している。とくにこれが欲しい!というものがあれば街に赴くこともあるが、基本は駐屯地で過ごしていた。

 そして私は、休日には教官の食事を作ることになっている。癒着といえばそうなることではあるのだが、そうすれば小麦粉とか酵母とか牛乳とかバターとか、パン作りに必要な材料を、訓練兵たちの食料と一緒に仕入れてくれるのだ。作ったパンは教官に一種類ずつ差し上げれば残りのパンは好きにして良いというので、「パン作りがしたいです」とダメもとで言ってみるものだなあと思った。パン屋の名前が結構売れていたようで、これに関してはウォール・シーナで頑張っていた功績だった。
 エレンくんたちの他に、次のお休みの日に何もない、と言っていたのでおっきなベルトルトくんとがっしりしたライナーくん、エレンくんをひっくり返したアニちゃんたちを呼んである。焼けた頃に来るよう時間を指定していたのだが、早めに来てくれて机の上を拭いてくれていた。トレーに盛ったパンや、昨日の残りのカチカチパンをリメイクしたお菓子などを並べていくと三人が感嘆の声をあげてくれて、ちょっと嬉しい。
 出来あがったパンを露店の時のように袋詰めしている間、お皿やカップの準備をしてくれたアルトリアちゃんにお礼を言って、ブラウニーもどきの切れ端を差し出した。口で受け取ってもふもふしながら、アルトリアちゃんがパンの入った袋をすべて抱えた。

「ナマエ、片付けも終わりましたし私が教官に渡してきます」
「アルトリアちゃんごめんね、お願いしてもいい?あ、袋それぞれに先生のお名前書いてあるから、それぞれ間違えないように……」
「中身は一緒ではないのですか?」
「好評いただいたパンを二個入れてたりするから。キース教官にはもちもちのおかずパンふたつ、とかね」
「なるほど。では私にはすべてを二個ずつになりますね。ナマエのパンは美味しいですから」
「アルトリアちゃんったら上手なんだから。お茶淹れて待ってるね」

「アルトリアって……あいつ女だよな……?」
「アニと同じくらいの身長だし、線が柔らかいしどう見ても女の子じゃないか」
「いや、だからこそあやしい……」
「ライナー、あんたぶっとばされたいの」

「ナマエさーん!はやくー!」
「エレン、お茶が来るまで待つの」
「そうだよエレン、みんな静かにまってるんだから……」



prev|next

[戻る]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -