×海賊
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リクエスト【メシウマちゃんのクロスオーバーが見たいと思ってしまいました。例えば×OPだったらサンジとはる美味しい海賊飯を作ってくれるんじゃないですかね!】



 エニエス・ロビーでロビンを奪い返すために大暴れをし、ウォーターセブンにて新しく船大工フランキーを仲間に加えることが出来た。新しい船、サウザンドサニー号で各々が自分の時間を過ごしていた時のことだ。サウザンドサニー号の上空に突如、ぽっかりと黒い穴が浮かんだ。
 黒い穴は、サニー号の甲板に黒い影を落としていた。驚くウソップやチョッパー、気象関係なのかと目を瞠るナミ達にとってはこの黒い穴は恐怖の対象であった。しかし不思議が現れた!と目を輝かせた船長にとってこの穴は、興奮する材料にすぎなかった。

 ぼたたっと音をたて、甲板に水が落ちる。近くにいたゾロがそれに目を向けると赤いことがうかがえた。血だ。

「チョッパー!もしかしたらけが人が降ってくるかもしれねえ!」
「ええ!?おばけとかだったらおれやだぞ!!」
「さあな、何が起こるか分からねえさ」

 甲板に全員が集合し、どきどきしながら何かを待つが、何が起こるわけでもなかった。汚れた甲板を掃除するかとウソップが掃除道具を持ってこようと動き出したところでそれは来た。
 ずっとそわそわしていた船長がいち早くそれを受け止める。人間の女のようだ。長いスカートがびりびりに破れ、赤で汚れていない場所と言えば胸元くらいのもので、足に手、頭が赤く染まっていた。思わず眉を寄せてしまうほどに痛ましい格好で、女は胸元を握りしめていたが、前身は力なくぐったりとしていた。
 医者ーー!!、おめえだよ!!のくだりを済ませた後に医務室へと担ぎ込まれたのは、前の世界で巨人に痛めつけられたナマエであった。




 濡れたタオルで拭ってみると、出血量の割に傷は浅かった。乾いた血液を取り去るのはなかなか大変であったが、重傷でないならそれでいい、とチョッパーは安堵した。少しばかり熱が出ているので傷口からばい菌が入って炎症を起こしているのかもしれない。濡れタオルで頭を冷やし、汗を拭い、ナミやロビンに着替えをお願いしていた。彼女は何度か目を覚まし、水を飲んだ。
 短い覚醒時間中、チョッパーはナマエに話を聞いてみた。ナマエがどうして怪我をしたのか、どういったところに居たのか。彼女が大事そうにこぼす名前には、クルー誰ひとりとしてピンとくる知り合いはいなかった。
 いま我々が居るのは海の上であると言うことを告げると、彼女は泣きそうな顔をしたが、ぐっとこらえてそうですか、と笑った。

 麦わらの一味の中でナマエと話が出来たのはチョッパーだけであった。早く身体を癒すためか、ナマエはよく眠っていたのだ。最初のころナマエを着替えさせていたナミとロビンも、毎日食事を運ぶサンジでさえも話したことがなかった。
 チョッパーづてに話を聞いていたルフィは、それはもうそわそわしっぱなしだった。ナマエが来てからと言うものルフィの活動と言えば、サニー号の船首でくつろいでいるか、キッチンで盗み食いをするか、医務室で椅子をカタンカタン言わせながらナマエを眺める事である。そこにウソップと釣りをしたりご飯を食べたりが追加されるが、圧倒的に医務室で退屈そうに椅子を鳴らすことが多かった。




 ナマエが目覚めてからのルフィの質問攻めはすごかったとウソップは言う。現代日本からリヴァイのいる世界に飛び、次はこの海賊だらけの世界。もといた世界に悪魔の実なんてものはなかったし、悪魔の実の能力者もいなかった。いたとしたら調査兵団の生存確率は飛躍的にアップしたはずだし、ひとつの宗教と化していてもおかしくはない。ナマエは、もとの世界――リヴァイのいる世界――に帰ることを諦めてはいなかった。
 そんなわけで、冒険をし続ける彼らに着いていけば道が開けるのではと、ナマエは考えた。戦闘に関してはからっきしであることを伝えると、緑の頭をしたゾロという人が最低限の護身術は教えてくれるとのことだった。ありがたい。

 オレンジの鮮やかな髪の毛をしたナミという子には、あんたは何が出来るのよ、ときついお言葉を投げつけられた。恐る恐る料理が出来ると言ってみるが、誰かが口を開く前にドアがばーんと開いて黒スーツの男の人が入って来た。

「んナーミすわんロビンちゅわん!夏ミカンのジェラートですよ〜ん!!あ、ナマエさんにはこちらのゼリーを」
「あ、ありがとうございます」
「男どものは向こうのテーブルに置いてある。各自で取れ」

 間違いなくこの男性はコックさんかパティシエであろう。すでに立派な料理人が居るわけなので、ますますもってナマエの居場所がない。しょんぼりするナマエのことをじっと見つめる目があった。正面にあぐらをかいて座っていた麦わらの男の子は、確かルフィと言って、この大きな船の船長だと。まん丸い目をきらきらさせて見つめてくるので、ナマエはへらりと笑うしかなかった。

「何が一番得意なんだ?」
「え、あ、料理のこと?」
「おう!」
「そうだなあ……パン作りかなあ」
「そうか!作ってくれ!!」
「えっ」
「あほか!ナマエはまだ病み上がりなのよ!!」




 完全に治ったと、船医のチョッパーくんからお墨付きを頂くと、ナマエはルフィに引きずられるようにしてサンジのテリトリーであるキッチンにお邪魔した。いつものようにパンを作るのだが、ナマエの後ろや横をルフィがぴょこぴょこ歩きまわるのでとてもやりにくかった。焼きあがったものをクルー全員に食べてもらうと、みなリヴァイと同じように衝撃を受けた顔をするものだから笑ってしまった。
 サンジはどうやってこれを作るのか、コツは何かと立て続けに質問をぶつけてくるので何度か一緒にパンを作ることになった。男の子たちは気に入ってくれたようで、もふもふ口に入るだけ詰め込んでいて、女の子たちはサンジからお皿を受け取り、各種類一つずつ確保していた。

 こうしてナマエは、サンジと同じコックに任命されることになる。



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