ジャンがだいぶ不憫
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リクエスト【ジャンがメシウマちゃんを振り向かせようと料理頑張り始めちゃうところとかあったらいいな(´;ω;`)味見してもらおうとするもリヴァイに邪魔されて最終的にサシャに食べられてかわいそうなジャン(´;ω;`)メシウマちゃんとマルコに慰められるジャン…そんなかわいそうなジャン……( ˘ω˘ ≡ ˘ω˘ )】


※104期のところへ再びリヴァイ分隊長が視察に来ました。メシウマちゃんはお料理要員です。



 本日の食事当番はみな、ナマエの料理方法を見ていて学ぶことが多かったと口々に言った。二人一組で調理に当たり、片方が鍋をかき回しては片方が火力の調整や調味料の追加を行う。いままで各々で調理をしていたが、気の合う奴とペアを組んだらとても効率よく作業が出来たのだ。
 また、ナマエと沢山話す機会があるため、いつもは嫌がられている食事当番は、ナマエが滞在している時のみ人気であった。調理後、時間が余ればナマエが持ってきている焼き菓子などのお菓子を分けてもらえるとかなんとか。訓練兵にとって娯楽や嗜好品などはもっての外であり、甘いものなんて蒸かした芋くらいだ。それが焼き菓子だと?食べたいに決まっている。育ち盛りの年齢ばかりで構成された訓練兵たちは飢えていた。


 食事当番をこなしたベルトルト・フーバーとジャン・キルシュタインの手には、それぞれ色の違う袋があった。匂いを嗅ぎつけたサシャによると、バターと小麦粉、そして卵からなる焼き菓子が入っているようだ。どこから見てもこの袋は高級品のミョウジブランドではないのか。ナマエさん何者?リヴァイに話しかけながら笑っているナマエに、104期生の視線が集まった。
 二人のやり取りを見ていると主にナマエが話し、それに対して相槌やちょっとした質問をしているのがリヴァイのようだ。飲み物が少なくなればナマエが注いでいるが、気付けばリヴァイもナマエのカップに注いでやっているのがわかった。

「聞けばナマエさんは料理が好きらしい」
「へえ。あ、ミカサそのおかずちょっとくれよ」
「ならば料理の出来る男はアピールポイントとして高いんじゃねえかって思うわけだ」
「エレン、これは私のもの。あなたはもう自分のを食べた」
「聞いてんのかお前ら!!」
「ああ聞いてる聞いてる。だからその菓子くれ」
「やるか馬鹿野郎!!俺のだ!!!」
「ジャン、少しでいいから」
「ミカサがそう言うなら数枚な!!」

 さっと机の上から袋を遠ざけ、エレンの手の届かないところへ避難させる。そして袋をそっと開けると、ミョウジブランドでは割と気軽に買える焼き菓子が入っていた。リーズナブルと言ってよいそれだが、他の店のものとは比べ物にならないくらい美味いのがミョウジブランドだ。
 袋の中身が見えるようにミカサに向けると、彼女は二枚手に取った。一枚をエレンの口へ、もう一枚を半分に割ってアルミンに渡している。もふもふと嬉しそうに咀嚼する三人の表情はとろけていて、反対側を見てみても、ベルトルトから焼き菓子を分けてもらったアニやライナーも幸せそうな顔をしていた。

 こういう表情を、俺はナマエさんにしてもらいたいんだ!

 ジャンはそう意気込み、調理室前に掛けられているエプロンを着込んで調理に取り掛かった。調理室前の入口は面白そうなことやってる、という理由で覗きこむ輩で埋まることとなる。




 いつも当番の時に率先して皮むきや皿洗い・皿運びなどをしているジャンにとって、味付けと言う作業は慣れないものであった。つい助けを、と思ってアニやクリスタの方を見てしまうが、食堂でほんわかした雰囲気をまとっているナマエが視界に入れば自分だけで作るんだ……!という気持ちが湧きあがる。そうして出来あがったのは、芋を千切りにして焼き、ちゃちゃっと味付けを施したものである。フライパンから少量取り、皿に盛ると、エプロンを外してナマエのもとへと足を進めた。

「ナマエさん!」
「はあい?」
「あの、俺、これ、」
「あら美味しそうね。これは、ジャンくんが?」

 さっと差し出した皿を受け取ったナマエは、既に食事を終えていたがもう一度フォークを手にした。小さく一口サイズに切りだし、フォークに乗せる。ナマエの口へ運ばれる、というところで調理室で騒ぎが起き、ジャンとナマエ、そしてエレンがそちらを向いた。

「やめろサシャ!!」
「ジャンが作ったんだぞ勝手に食ったら……!」
「いい匂いがするのが悪いんです!!!!」
「あー!食べたー!」

 そしてその間、リヴァイの手がナマエの手から皿を掴み、小皿に乗っていた全ての芋はエレンの口へと消えていった。それを見ていたのはミカサとアルミンであった。
 うまい、といってエレンは咀嚼を続けており、ジャンとナマエが再び机に向いた時には、小皿はおろか、フォークの上にも何もなかった。ジャンがぱっと周りを見るとエレンの口がもぐもぐと動いており、衝動にまかせてエレンの胸倉をつかみ上げるが、「美味かった。また作ってくれ」と言われてしまえばやる気をなくす。

 再びこの味が作れるのだろうか。机につっぷして肩を揺らすジャンの背中を、マルコがさすってやるが、優しさを受けると余計に泣けてくるらしい。より一層自分の腕にもぐってしまった。おろおろした末にナマエがポケットから飴を取り出すのだが、ジャンに渡す前に片っ端からリヴァイが奪って行った。




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