5. People see me as The Nine Tailed Fox.


 なんで小さな子供を一人で外を歩かせるのか。
 そんなのはオレには確かなことはわからない。けれども。

 人柱力と共に歩く火影を見て人が何を思うのかなんて、想像がつく。自分だって、里の長と人柱力が一緒に散歩してたら同じことを思っているはず。
 まあ、だからといって……。

 この状況を気にしない、なんてことはできないのだ。

 火影邸を出れば、そりゃあまあ今すぐ火影邸に引き返したくなるほどには。
 暴行を加えてくる者はおらずとも、――加えようとしてても暗部の人が何かしてるのかもしれないが――目が怖いし。ご婦人方はこちらを睨みながらこそこそとお話しするし、男たちは汚いものを見るような目で見てくる。

 これじゃあ体に毒にしかならんのだが……。というか小さな子供にこの状況は人間不信を引き起こすだろうに。
 ヒルゼン様ももう少し頭を働かせるべき……。もう年なのかもしれないなあ。
 いや、わざとかもしれないな。ちなみにご婦人方は聞こえる来るように嫌味を言ってくる。まあ確かに、オレが普通の子供なら嫌われてるようにしかわからんのだけど、その情報はこのオレにゃあただのヒントにしかならんのだ。

 で、今思ったのだけれど、こうやって小さいころから嫌われ続けていたとしたら、それはうずまきナルトという人格に嫌われることが普通なのだと刷り込まれるのではないか――――なーんて、一種の洗脳を考えるのはやめておこうか。

 どうやらオレを早く火影邸から出したがっている人がいるらしい。子供に襲いかかる……なんてことはないが、九尾のようなものが火影邸でのんきに暮らしているのが憎いのだろう。やりきれないのだろう。

 九尾が暴れたという事実は、犠牲が出たという事実になるから。

 まあだからといって、その気持ちをオレにぶつけられても困るわけなんだけどなあ。

 散歩にでかけさせられるのは嫌味に慣れるように、という有難くない配慮だろう。すり込んで、洗脳して、慣れさせるとか、なあ。民の怒りや気持ちをを九尾の人柱力にぶつけさせるのはいい判断だ。
 里としてはいい判断だけど、人間としてはひどい判断だよ。これがヒルゼン様の仕事だとしても、オレの行き場のない気持ちは腹の中でぐるぐると回り続ける。――嫌い。

 こんなそんなでうずまきナルトは英雄ではなく、ただの悪なのだ。
 化け者を封じられた器、つまり、中身はただの化け狐であるという認識。体の中に尾獣を封じ込まれた人間を見たことがあるが――それは確かに、化け物よろしく凶暴な性格をしていた。

 だから、こうやって憎まれるのは仕方ないのだ。きっと。きっと――いや。嫌だよ。
 大体、オレの夢は長生きをすることなんだ。愛する人を見つけて、幸せに生きて。なのに、今度は人柱力と来た。

 ……オレは、どうすればいいですか?




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