19. Dilemma is now here.


 困った子だなぁ、とカカシはため息をついた。

 ナルトはタズナさんに正論と言ってもいい言葉を吐いた。
 命にかかわる仕事において、正しい判断だった。

「そうですねぇ」

 きっとナルトも本心からの言葉だろう。だが、その一方で。

 こちらを見る目はまるで「タズナさんを見捨てたくない」と訴えかけている。
 厳しいのやら、優しいのやら。

 随分と大人な子だな、と思う。
 おそらくそれは彼女を取り巻いていた環境がつくりあげたのだろう。
 厳しくて、甘くて、優しくて、冷たい。
 
 人間とは、矛盾を抱えた生き物だから、な。

「波の国は小さな国と言えど、大事な客だ。嫌な噂を流されても困る。とりあえず、こうなるまでに至った理由をお聞かせ願えますか?」

 タズナさんはその言葉に喜んだ。

 サクラも良心を苛まなくて済んだようだった。

 サスケはサスケで納得したようだった。

 ナルトは。
 ナルトは、一瞬喜んで、不機嫌になった。演技ではなかった。心に抱えた二つの感情による、それぞれの反応だった。







タズナさんを助けることができてうれしい。でも危険に飛び込みたくはない





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