18. Is there salvation for a liar?


 如何なる犠牲を払っても戦い続ける忍。これが教育且つ洗脳の賜物だ。霧隠れの忍は、辛いものだ。
 かわいそうに、ねぇ。

「こいつら、霧隠れの中忍だ。狙いはタズナさんのようですが、これですと我々が受けた依頼とは違うものになりますねぇ」

 カカシ先生が言った言葉にタズナさんは気まずそうに眼を動かした。なんと。故意のものか。こっりゃああかん。

「この任務、私たちには早いわよ」

 サクラが発言する。サクラ自身おびえてるところもあるが、敵が忍とあらばその発言通りこの任務はオレらには早いのだ。しかも、この任務は偽られていたんだから。

「オレは出来れば続行したい。これはオレらの実力を示すいいチャンスだ、が。敵のレベルもわからずに安易には言えない」

 サスケさんったら傲慢ねぇ。ま、身の程がわかってるならいいんですけど。

「オレは帰るべきだと思うよ。依頼人と忍の間には信頼関係が必要だ。嘘をつくようでは困るし、最初の敵が中忍じゃあカカシ先生がいても下忍のオレらじゃ対処できないよ」

 まあ、中忍のくせに晴れが続いたここらへんで水たまりを作っていたのもなんだかなぁと思うんだが。

「そうだな。じゃあ一度、村に戻りましょう」
「ま、待ってくれ! お願いだ! この通り!」

 黙ってもいいことはないと悟ったのか、土下座し始めるタズナさん。でもねえ、忍は甘くはないんだぜ?

「何をお願いするんですか?」
「金が、金がないのじゃ! だけど波の国じゃみんながわしを待っておる! 金がないのもあいつらのせいなんじゃ! わしはどうしても波の国に行かねばならんのじゃ!」

 黙るカカシ先生。

「先生……」

 サクラは同情したらしい。そんな先生を見つめるサクラをタズナさんがすがるように見つめた。

「タズナさん」

 優しく声をかければ、タズナさんがこちらを向いた。

「同情を引こうとしたって、ダメだよ」

 笑いながら、自分の良心を抑える。

「忍は商売なんだって。契約違反をしたのはそっちだろ? しかも同情を引こうとするなんて、マジ最低だわ」

 まさか暴言を吐かれるとは思わなかったのか、タズナさんは怯えた顔をしている。ふざけんなよ。甘えんなよ。お前の力不足なだけじゃねえか。
 大体この任務オレらがするにゃ危なすぎるって。そりゃあカカシがいるからもしかしたらギリギリいけるのかもしれねえが、その場合オレらはただの足手まといだし、オレも自分が死ぬ可能性をあげたくねえっての。

 サクラもそれが正論なのはわかっているようで、良心に苛まれつつもタズナさんを助けることはあきらめたようだ。
 うん。サクラ、君はいい子だよ。
 対してサスケはどうでもいいらしい。

「こっちだってこういうことは言いたくないんだよ。だって胸糞悪いじゃん? なので、判断はカカシ先生任せるわ」

 わずかな希望を求めてタズナさんはカカシ先生の方を向いた。




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