13. It was a just little escapade.


「くら、おう!?」

 部屋に入って来た途端躓いて転んだ木ノ葉丸君がいたな。

 昨日のことである。めでたくアカデミー卒業証書をもらったオレは、忍者登録書のために写真を撮ったわけだが、爺に提出する際に現れたのだ。
 木ノ葉丸は、木ノ葉丸という名前と火影の孫という立場が嫌になっていたらしい。自分自身を見てくれないのが嫌だとか、九歳のくせに結構わかってるんだよなぁ。

 エビスとかいう専属教師をつけて、爺を倒して見返すために現れた木ノ葉丸は、なぜかオレに懐いている。木ノ葉丸に爺を取られたという子供じみた嫉妬もほんの少し、ほんの少しだけあったが、そんなものはとうに消えている。

「ナルトの姉ちゃん、俺は五代目火影になるんだコレ!」

 と、会うたびに語ってくるやつだ。といっても一年に一回ぐらいしか会わないわけだが。

 結局二人でエビスから逃げて、森の方で成長具合を見ることになった。何の成長かって

「お色気の術!」

 オレが教えたお色気の術である。これは昔「どうやったらあのクソ爺倒せるコレ?」と聞かれて目の前でエロ本買ってた人を見て言った「女に変化すればいいと思う」が原因で開発されたものだ。結構後悔している。

「どうだコレ?」

 現れたのは黒髪長髪清楚系美人。これは……来るっ!

「さすがだな……」

 オレにお色気の術のヒントをもらった翌日から、積極的にエビスに変化の術の教えを請いたらしい。本人はこの術のために頑張ったわけだが、エビスは用途を知った時に愕然としただろうなぁ……。

「どうだコレ? 他に何も出来ないくらい改良したコレ!」

 ふっふっふ。そう思うだろう? だがな、違うんだぜ。

「木ノ葉丸」
「ん? なんだコレ?」
「分身して変化するってばよ」
「なんでだコレ?」
「ハーレムの術だったばよ」
「……おおー! 早速挑戦するコレ!」

 申し訳なかったなぁ……。けど木ノ葉丸地頭はいいから、いい子に育つと思ってるよ。……多分。




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