7. Killing one person for one hundred people.
さて、見事に二回目の卒業試験を留年したうずまきナルトである。本日は始業式である。
去年から気になっていたことだが、卒業したはずの同級生をアカデミーの離れた教室でよく見かけている。今年も同じく去年の卒業生が。今年の担任のイルカ先生に聞いてみれば、どうやら下忍になるためには卒業試験の他にも何かやらないといけないことがあるらしい。
……どんどん色んな制度ができるなぁ。じゃあもらっていた額あてはどうするんだ? ただのアカデミー卒業記念に成り下がるのか?
そうなると、毎年卒業する生徒がすごく少なくなるけどどうするつもりだろうか。まあ暗部で下忍になっている子供もいるのかもしれないが。
三度目となるこの教室はかなり濃かった。なんといえばいいのやら。
まずは先生。
新米らしいこのうみのイルカ先生は、化け狐たるオレになんの敵意もなく接する。これでも云十年生きてるので人の裏表はよくわかっているつもりだが、これが演技だったらすごい演技力だと思う。
そして同級生の異常な名家率。白眼の日向ヒナタ。日向の人は去年もいたなー。蟲使いの油女シノ。忍犬使いの犬塚キバ。そして猪鹿蝶トリオと言われるスリーマンセル特化型三族の子供たち、秋道チョウジ、奈良シカマル、中山いの。……自分たちの子供を同時期に孕ませるとは……やるなあ。
最後に、あのうちはのサスケ。
うちは一族。滅んでしまった、一族。
当時六歳だったオレもよく覚えている。
うちは当主うちはフガクの長男、うちはイタチによる、弟のうちはサスケを除いた一族の抹殺。
そのときサスケは丁度家にいなかったらしい。詳しくは知らないが、家族をすべて兄に殺されて、一人孤独になってしまったサスケは一体どんな気持ちになのだろうか。オレにはわかりっこない。
小さい頃のイタチには会ったことがある。昔の人生のときの話だ。利口な子供だった。人は変わるからどうとも言えないが、まさかこんなことをしでかすとは……。
そして他の人は知らないだろうが、オレにはひとつ知っていることがある。あの事件が発生する前、爺がとてもピリピリしていた。というか、苦悩に満ちた顔をしていたようにも見えた。
……そう、まるで。何かの決断をして、多くの人を助けるために、少数を犠牲にしたような。
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