27. I think you have no sense.
「入学祝をやろう。ほれ、この服じゃ。ナルトにはとても似合うと思うがのう」
ヒルゼン様――いや、もうじじいでいいや。いつしかボロでそうだし――から手渡されたのはオレンジ色のジャージセットだ。ふむ。まあとりあえず、
「じじー! ありがとー!」
いえーい! とテンションを高めにして騒いでみるが、内心結構憂鬱だった。
アカデミー入学。戦争がなくなった今、オレみたいな五歳の子供が入学するのは非常に珍しいと言っていいだろう。しかもどうやら一人暮らしをするハメになるらしい。……正気か? このくそじじい。
たとえどんな優しい人であろうと、人の上に立つものは時に見て見ぬふり、正義のための犠牲を出す。
五歳手前の四歳児、しかも化け狐がまともに買い物なんてできっかよ、っと罵りたくなったが、どうやら食事はヒルゼン様が届けてくれるらしい。まあ暗部さんに任せっきりになるとは思れども。
そして渡されたオレンジ色のジャージセット。多分これからオレの忍服になるのは間違いなしだが……ダサい。オレンジ色がオレの髪の毛を考えて選んでくれたことだというのは分かるが、オレンジ色の髪にオレンジ色の服なんてダサすぎる。
「……鬱だー」
じじいに案内されたボロアパートの一室で、溜息を吐いた。
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