17. Do you know who was the last human sacrifice?


 うずまきナルトにとって、誕生日というのは祝いの日ではない。

 村は一斉に黒を纏い、自分を見る目はより一層恨めしくなり、普段は何もなかったように過ごす人もその日のことを思い出すのか、沈痛な面持ちになる。

 そんな誕生日が、今年もやってきた。

 うずまきナルトの誕生日は、九尾が村を襲撃した日であるらしい。
 そして生まれたばかりの赤子のオレに九尾が封印されたのか。つまりクシナさんはその時まで生きていたことになる。もしかして、オレを産んだからクシナさんが亡くなってしまったのか? 母体と子供の優先順位とかが病院で飛び交い……そんなことを考えるとクシナさんに申し訳なくなってしまった。

「ナルト、この花束を持つのじゃ」

 空は灰色、雨はしとしとと降る中、ヒルゼン様が菊の花を渡してくる。

「うん」

 それを大人しく受け取れば、こちらを睨んで見ていた奥様方がこそこそと喋りだす。

「ほら、あの子……」
「人の神経逆撫でさせるわ……」

 そんな声には聞こえぬふりをして、ただただ地面を見つめた。
 あちこちで泣き崩れる人がいる。涙をこらえて空を睨む人がいる。泣きだした親をどうにかしようとする子供がいる。目を閉じて静かに立つ老人がいる。

 これはすべて――すべて、オレの中に封印されている九尾がもたらしたもの。

 人が悲しむのを見るのは好きではない。見てるこっちだって悲しい。子供だからか、今ここで貰い泣きしそうである。こらえるけど。

 いくら、この光景がオレのせいではないとはいえ。
 この沈黙の時間は、胸いっぱいに複雑な気持ちが広がった。

 うずまきナルト。今年で四歳になりました。





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