12. The empty world in my mind.



 真っ白。
 この空間を表すにはその一言に限る。
 
 厳格に言えば真っ白ではない。だが、ある部分を除けばここは真っ白だった。除かれた一部分。それは、黒で書かれた「三十六」という数字。

 この数字が意味するのはきっと――余命。

 徐々に減っていくこの数字は、最初は百もあったはずだ。一回目の人生は精神的に幼く、しっかり覚えていないが。けれども自分の年齢を考えれば、最初は百であった。はず。

 転生を繰り返しながら年を取る度にこの数は減っていき、今はすでに三十六年しか残されていない。
 いや、三十六年も、というべきか。
 そんな余命が示されたこの空間はなんなのだと聞かれれば、「多分、精神世界?」としか答えられない。だって自分でもわからないから。

 現実世界で眠りに着くと、オレは夢を見る。それか、この世界で目覚める。
 目覚めたといっても意識ははっきりしない。寝ぼけている感覚で目を開け、前を見つめ続け、そして現実世界で目を覚ます。

 意識がはっきりしないから、どれだけ見つめ続けていたのかさえわからない。
 だけど、目覚めるときにはいつも――見慣れた朝なのだ。





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