8. I will never tell who i was.


「うーん……今日はどこいこー……」

 どっかからついてきているだろう暗部にも聞こえるように呟く。
 少し白々しかったかなと自分の行った台詞を頭の中で反芻した。そういえば、うずまきナルトの母親であるはずのクシナさんはいっつも語尾に「ってばね」をつけていたなあ。

 「ってばね」はクシナさんのトレードマークだったなぁ……。もう一度クシナさんにも会いたいものだけど、もう亡くなってらっしゃるのだろう……。

 大体。
 大体、前の前のオレはすでに死んでいるんだ。会いたい気持ちはあれど、「実はオレ、誰々だったんだ!」なんて言うつもりはない。もう、関係ないのだから。

 記憶は一つ一つ切り離して過ごす。それが、オレの生き方。たった一人の例外を除いては、前までもそうだった。

 だから、たとえば記憶の持越しによって敵の情報を知っていて――且つそれが仲間であろうとも――情報を仲間に教えれば仲間を死なせずに済む場面であろうと、それは今の自分の記憶による情報ではないから、仲間には教えない。
 もちろんそこに仲間が死んでしまう可能性はある。。
 それでもオレは構わない。いや、構わない、わけではないが。それが一番――無難に過ごしていく道だから。





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