○○をしないと出られない部屋
『5分以上の接吻をしないと出られません。120分以内に実行してください』
「主上…何ですか、これ?」
「余もわからないのだ…眠っていて目が覚めたらここにそなたと2人だったぞ」
真っ白な部屋らしき空間に、知らない間に劉輝と入れられた静蘭。
壁のその貼り紙に怪訝な顔をした。
劉輝の返事を聞いて、扉を探そうと試みる。劉輝もいろいろなところに手を這わせて歩いてみたが、どこにも凹凸らしきものも見つからない。
まして、どこを見ても真っ白なため、部屋の広ささえわからない。
「…困りましたね」
静蘭がため息を吐く。
その様子に劉輝は傍に寄ると、相手の袖を引いた。
「余は…私は…兄上とだから困らないのです」
そう言いつつも少し不安気に見つめてくる瞳。
静蘭は肩を抱き寄せると頭を撫でてやる。
「早く出よう、劉輝」
そうして戸惑う事もなく接吻を交わし、あっさりと条件を満たした2人。
5分経過と同時にどこから流れてきたのか終了の鐘の音がした。
「…、兄上もっと…」
しかし。
(この寝台はどこから現れたんだ?)
長い口付けの余韻で座り込み、トロンとした表情で見つめてくる劉輝が腰掛けたのは、先程まではなかったはずの寝台の上。
「ん…兄上…」
終了の合図が鳴って出られるはずなのに。
「もっと、たくさん…チュウしたいです…」
唇を突き出して、自分にせがむ劉輝の姿。
静蘭は再びため息を吐いた。
「…君が止まらなくなるから、困りましたねと言ったんだぞ」
そう言われても劉輝はすでに気分が高揚していてポワポワしている。いつものように、もっといろんなところに、たくさん口付けてもらいたくて熱が燻り始めている。
「120分までならいても良いのでしょう?」
そういう意味なのか?
劉輝の言葉に疑問になったが、抱きついてきて相変わらず上目に見つめてくる劉輝。
「仕方がないですね…」
静蘭が再び劉輝に口付ける。
先程までより、情熱的に。
遠くで鐘が鳴り続いているような気がした。
終わる
ついったーの某診断結果より。
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