ツルニチニチソウ
「何を舐めてるのだ、静蘭」
春の暖かい陽射しの下、心地よい風が吹いた。
今日は少し汗ばむような好天、そよ風が気持ち良かった。
静蘭が「いい天気ですね」と、風に合わせるように襟足の髪の毛を整えると微かに甘い香りがした。
そして劉輝は冒頭の言葉を返す。
「?何も舐めていませんよ主上」
「ウソなのだ、静蘭から甘い匂いがしたぞ?」
1人だけ砂糖菓子を口にしてズルいぞ!とプンプンする劉輝に、身に覚えがない静蘭は困った顔をする。
「…バレたのなら仕方ありませんね」
ウソも方便と、静蘭が拗ねる弟を引き寄せて、その唇に口付けた。
「…甘くないです…」
「舐めてませんからね」
離れた口からは、別に先程のような甘い香りはしなかった。
劉輝が不思議に思っていると、近くでまた同じ香りがした。
「……あ、」
抱き寄せられていた劉輝が匂いのする場所に鼻を擦り寄せる。
「…何をするんだ劉輝?」
突然、襟足の髪の毛を手で掬うとペロリと舌が這う。
「ここです、甘い匂い…」
劉輝は静蘭の首筋にかけて匂いを嗅いでは舐めていく。
「擽ったいから止めなさい!」
静蘭がきつめに制止すると渋々離れた姿は子犬のようで。
しかし、その甘さの正体が汗だと理解した劉輝は素直に離れる事にした。
(兄上の汗は甘いのですね…んふふ)
終わり
紫兄弟で同じ話を考えたらリバっぽくなりました(笑)
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