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*抑えられない気持ち(劉静)

「兄上…劉輝ももう大きくなりました。あなたの唇に口付ける事を幼い頃からずっと夢見ていました」



柔らかな兄の髪に鼻をうずめるといい香りがした。

十三年振りに再会した時、昔は大きく見えた兄の身長を、自分が僅かに抜いていたと気付いた時は思わず嬉しくなった。


後ろから抱きしめていた体は今日は何故かいつもより小さく感じて、囁いた言葉に肩が跳ねたのを感じる。


「兄上…」


肩を引き振り向かせると、その顔をほんのりと紅潮させていた。


昔、うたた寝をしていた兄の指先にこっそり口付けし、目が覚めた後、膝に抱き寄せられて初めて頬に口付けた時は、滑らかで色が白くとても美しいと思った。

その兄が今は頬を赤らめ戸惑いがちにこちらを見ている姿はとても可愛らしい。


「兄上、大好きですよ」


顎に指を添えて上向かせ、視線が合うと静蘭の瞼がゆっくりと下りた。


二の腕をギュッと掴む様が更に可愛らしい。

腰と背中に腕を回して体を密着させると、静蘭も身動ぎながら腕の中に収まり、背中に腕を伸ばしてきた。


「劉輝…」


唇を離すと兄が名前を呼んだ。


「どうしたのですか、兄上」


その表情は、普段の冷静な武官としての力強さはなく、瞳を潤ませ、欲に駆られた色気のある顔をしていた。


「いくらでも差し上げますよ」


劉輝が再度口付けると、静蘭が唇を開き舌を誘い込む。


「ん…ふ」

どちらともわからない鼻から抜ける吐息に劉輝は体をゾクリとさせた。


兄の体を抱きしめ口付けをしたまま寝台に向かう。
途中、足がもつれてよろめくのも構わず、お互いの唇を求めた。
寝台の縁に足が当たると、静蘭はそのまま座り込んだ勢いで押し倒された。


「兄上…先に進んでもいいですか?」


「…止められないのでしょう?」


「ええ」


止める気など毛頭ないが、兄の矜持を保つためにも伺いを立てれば、言葉では拒否をしながらも、こちらをじっと見つめる視線は笑っていた。



お互いに衣服を脱ぎ去り、再度寝台に上がる。



幼い頃、泥で汚れたり傷だらけの私を何度か風呂場できれいにしてもらった事がある。
あの頃よりお互い身長も伸び、体格も変わった。
しかし、寝台でこちらに笑みを向ける兄の体躯は同じ男とは思えないほど白く華奢に感じられた。






「劉輝は本当に逞しい大人になりましたね」


頬から肩、胸、腰…そして腿。

兄の無骨だがスベスベとした指が肌を撫でて行く。

「…ここもこんなに立派に男らしく」


そう言って指が触れたのは中心で熱を持った劉輝自身。

静蘭は笑みを浮かべると屈み込んで、そこを口に含み刺激し始めた。


「…あ…兄上…っ」


ずっと、口付けしたいと夢見ていた大好きな兄の薄い唇が、自分の自身をその唇に挟んで愛撫をしている。

その事実だけで劉輝の熱は高まり、あっさり欲を放ってしまった。


「気持ち良かったですか?」


弟のその様子に静蘭は満足そうに尋ねる。


「わた、私も兄上を気持ち良くしたいのです…!」


今度は劉輝が兄を組み敷くと、再び口付けから始まり、体中に唇を落として行く。


「ぁん…」


胸に舌を這わすと兄は身動ぎした。


「気持ちいいのですか…?」


「っ、わか…な、い」


「そうですか」


静蘭の返事を気にせず、劉輝の愛撫は続いて行く。


武官だけあって、日頃の稽古の賜物か。
程よく引き締まった腹筋や腿をなぞると静蘭は身を捩る。


「劉輝…っ」


そして髪の毛同様に柔らかなその茂みの中心に手を伸ばす。


手で擦り上げると静蘭の腰が跳ねた。


「こんなに蜜を垂らして…気持ちいいのですか?」


指や手の平に付いた先走りを見せつけると兄は頬を染めて顔を反らした。


「…もっと良くして差し上げますね」


そう言うと劉輝はそこを舌で舐めたり口でしゃぶり始め、室内には卑猥な音が溢れる。


「…っあ、ゃ、劉輝」


兄の上擦った声が可愛らしく、劉輝の行為は続いて行く。


「なっ…そ、な場所…」


静蘭を俯せにすると腰を引き寄せて四つん這いの態勢にさせた。
そうして露になったそこを劉輝は舌と指を使い解して行く。


「はぁっ…!っや」


指の本数を増やして行くと静蘭はますます艷めいた声をあげた。


「劉、輝…もう…」


我慢出来なくなったらしい兄が、自らそこを指で押し広げて見せてくる。

劉輝の理性は限界だった。



「兄上っ、」


先端を宛がい、ゆっくりと挿入させ、そして…。










目が覚めると、そこはいつもの自分の寝台の上だった。
周りを見回すが真っ暗で、静蘭はもちろん、秀麗の姿もない。


「ゆめ…だったのか…?」


あれ程、実物のように生々しく兄との情事を夢に見るなんて。

そう思った時には既に遅く、毛布の中の自分の下半身が疼いてしまっていた。


「あ…あに、いや…静蘭で余は自分を慰めるのか…」


今までに何人もの侍官達に夜伽をさせてきた。
今更、同性を相手にした行為など何とも思わないが、自分の実の兄に夢の中とは言え欲情したなどとは口が裂けても言えない。


「…、っんぁ」


自慰などいつ振りか。
兄上が、あの美しい顔をどのように歪めて、快楽に溺れるのか。
それを想像して吐き出した自分の物を見て、劉輝は居たたまれない気持ちになった。


「静蘭の顔を見たら…思い出してしまうかもしれぬ…」


幼少の頃に兄に憧れたのは本当の事。
しかし今は秀麗との恋仲を進展させたいと言うのに。




劉輝は手を洗いに寝台を下りると深いため息を吐いたのだった。







「主上、おはようございます」

「あ、あにあに…いや、静蘭かっ、おはよう」


翌朝顔を合わせた本人は、やはり色が白く滑らかな肌で笑顔を向けて挨拶をしてきた。


「お顔が赤いようですが、大丈夫ですか?」


動揺して思い切り顔を背けると訝しげに額に手を伸ばされる。


「だっ大丈夫なのだ!余ももう大人なのだから心配はいらないぞっ」


「はあ…」


寸でのところで身を引いてバタバタと走り去る主上を静蘭は不思議そうに見送ったのだった。







終わる



ドラマCDが!!
ドツボに可愛すぎて、しかも劉輝→清苑。
あれが全サで公式に出されていた物だなんて…再販してくれないだろうか。
書ききるつもりでしたが、やはり秀麗ちゃんを無視出来ず、夢オチとなりました。

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