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*甘い衝動

「…主上」


「っん…ぁ、」


「一国の王ともある御方が随分淫らですね」


行為中、静蘭は思った事を口にした。


「し、仕方ないのだ。静蘭が…」


そうですか?
自分のせいだと言われたように聞こえた静蘭は、興味なさ気に返事をすると挿入したまま律動を止めた。


「ぁ、ゃん…なぜ…」


「私のせいだと言われたような気がしましたので」


「ダメ、だ」


組み敷いた相手をそのまま見下ろしていると、頬を紅潮させたままそう言われる。


「何がですか?」


「っ、余をこのままにしては、ダメ…なのだ」


律動が止んで、もどかしい劉輝は懇願する。


「なぜですか?」


どうしたらいいのか…?そう尋ねてくるだろうと思っていた。
そうしたのなら、精一杯の色気で強請ろうと思っていたのに。


「…気持ち…くないから」



両手で顔を覆い囁かれたその言葉が、彼の本心なのはわかっている。

挿入して繋がったままのそこは快感を求めて、静蘭自身を誘い込むように収縮している。
中心で濡れ起つ劉輝自身も触れれば達しそうな程に熱を持っていた。


「……」


「静蘭…っ」


両手を退かさせるため腕を伸ばした際にわずかに奥が刺激されたらしい。


「余はっ、相手が…静蘭だから、抱かれている。静蘭にしか…こんな姿は…見られたくないぞ」


言うと劉輝は、自身に手を伸ばして繋がったまま自身を扱き始めた。


「はぁっ…っん」


手の動きに合わせて、無意識なのか腰も揺れている。


「…主上は本当にワガママですね」


静蘭は劉輝の体を抱き起こすと、自分の腿の上に座らせる。


「…っ!ア、ゃ」


そのまま抱き寄せると劉輝も兄の体を強く抱き締めた。


お互いに視線がぶつかると静蘭は笑みを浮かべ、劉輝は小さな唇から赤い舌を覗かせる。


「あにうえ」


誘われたままに口付けを交わす。
何度も顔の角度を変え、荒々しく、時には初々しく見つめ合うと啄むように愛しさを伝えながら。


「…ん、あっ、あぁ…っ」


その間も律動は続いていたため、劉輝は欲を放ち、静蘭もその締め付けにより達したのだった







「主上」


「!」


「今まで、ここで何人の方達と過ごされたのですか」


行為の後お互い寝台に俯せになり、余韻に浸りながら劉輝は微睡んでいると、何となく不機嫌そうな兄の声音にドキリとした。


「……覚えてないです…」


思わず掛布の中に体を潜らせる。


「そうですか…私にしか見られたくないと言いながら、留守にしていた間は随分お盛んだったようですから」


今までは抱く側とは言え侍官や女官を相手に何人もの人間と床を共にしてきた事に対して、兄はやはり機嫌を悪くしていた。


「だ、だが後ろの穴は今日の静蘭が初めてなのだ」


「…それが何だと言うんですか」


「…ごめんなさい…」


精一杯の事実を伝えたが、冷ややかな視線を向けられて劉輝は泣きたくなった。


暗闇への恐怖や兄がいなくなった寂しさを埋めていた行動で、その兄自身を怒らせてしまうなんて。


「私が好きなのはずっと兄上だけです…どうしたら、信じてもらえるのですか…」


先程までの優しく愛しい暖かな空気ではなく、ヒンヤリとして感じる寝台に劉輝は涙を浮かべて隣の兄を見つめる。


「…そうですねえ…」


静蘭が正面を見つめながら真剣に考えを巡らせる。
どんなに難題な要求でもきちんと応えて信じてもらわなければ、劉輝の今までの、兄を好きなこの気持ちは報われない。

俯せているため掛布から出ている兄の鍛えられた背中や上肢に心臓がドクリとし、視線が釘付けになってしまった。


「兄、上…」


思わずその横顔に手を伸ばす。


「…しん、じてもらえるまで…いくらでも私を好きにしてください」


静蘭になら何をされても余は構わない。

そう言って枕に顔を埋めてしまった主に、静蘭は目を丸くて彼を見つめた。


「主上…それは私が謀反を起こしてもいいと言う事ですか…?」


掛布隠れていた耳に囁くと慌てて枕から顔を上げる。


「違う!それは構うぞっ」


「嘘ですよ」


静蘭は意地悪く笑うと、劉輝の頭を撫でてやった。


「私も君が大切です。だから無理はさせません」


主上がお望みなら別ですが。
そう続いた言葉に、劉輝は照れた顔を半分ほど掛布に隠しこう言った。


「……もう1度なら…しても構わないのだ」








終わる






静蘭の最初の方のセリフを言わせたくて考えてたら、よくわからないエロが出来ました。

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