一瞬と永遠と。
「主上、お変わりはないですか?」
夜着に着替え、寝台に入ろうとしていたところ、室の扉が静かに叩かれた。
扉を開けるとそこにいたのは……。
「静蘭!どうしたのだ、こんな時間に」
「ええ、悠舜殿に今夜は流星群が見られると聞いた藍将軍から宿衛の交替を頼まれまして…」
苦笑しながら説明をする静蘭。
楸瑛のことだ、きっと今頃は妓楼で天体の蘊蓄でも話しているのだろう。
「主上も眺められますか?」
「うむ」
室の前の階に2人で腰を下ろす。
夜空を見上げればたくさんの星が煌めいている。
「…なかなか流れないものだな」
「そうですね。主上、寒くはないですか?」
夜着の上に羽織を着たのであまり寒さは感じない。
「余は大丈夫だ」
「…あ、」
天を見上げていた静蘭が一瞬止まる。
「何だ!流れたか?」
「っくしゅん…」
慌てて空を見渡すと、隣から静蘭のくしゃみが聞こえた。
鼻をすする姿に思わず笑ってしまった。
「私より、兄上の方が寒そうですよ」
一度、自室に戻ると毛布を1枚持って来る。
「こうしたら暖かいです」
2人で体をくっつけて、毛布をお互いの背中に羽織る。
「…劉輝、ありがとう」
心地好い暖かさに、静かに空を眺める。
「劉輝、すごい数だね」
たくさんの流星に感嘆の声をあげたが、隣からは何の返事も聞こえない。
そっと視線を向けると、肩に寄りかかって寝息をたてる弟の姿。
静蘭はくすりと笑みを浮かべると、起こさないように弟を抱き上げ寝台に連れて行ったのだった。
「おやすみ、劉輝」
毛布を掛けてやると、額に口付けを落とし室を後した。
おわり。
12月に流星群が話題になった時についったに載せた会話文を文章らしくしてみた。
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