今年も、そしてこれからも。/由夜さんへ

※成人設定




「ブン太、お待たせ〜」

「おー、幸村くんサンキュー」


正月も過ぎ、明後日からは仕事が始まる。
間もなく冬休みも終わるそんなある晩、中学からの友人達が訪ねてきた。


「ブン太、コタツ借りる!」

「おっ前…本当よく毎年越冬出来てるよなぁ仁王」

「本当だよねーさっき会った時も唇真っ青なくせに手袋もマフラーもしてなくてコートのポケットに手入れながら突っ立てるんだもん、バカじゃないの?」

「バカとはひどいのぅ」


缶ビールやつまみをお土産にやってきた幸村と仁王。
今日は新年会と銘打って、丸井のアパートで飲み会なのだ。


中学からの付き合いで、他の部員とも勿論今でも親交はあるが、成人してから判明した特に酒好きだったらしいこの3人での飲み会は既に毎月の恒例となっていた。
中でも春から一人暮らしを始めた丸井のアパートは宅飲みの際とても都合が良い。






「七草ナズナ、」

「何歌ってるの?」

「んー?ほら明日七草粥の日じゃん」

「ああ」


酒もつまみもほとんど終わってしまった頃、キッチンに立つ丸井が歌を歌いながら調理を始めた。
何かと思い幸村が声をかければ、相変わらず食通な彼らしい明日の行事の仕度だった。


「仁王は?」

「つぶれた」

「ったく、あいつ見た目のわりに弱いよな」


既にコタツで寝転がる銀髪は、何と言うか正しく猫のようだ。


「ブン太が強いんだって。ほら、俺ももうフラフラする…」


そう言った幸村は笑いながら背中にのしかかって来る。


「だぁ!!あぶねえからほらコタツ座ってろよ」

「ありがと〜苦労をかける」

「もうそれで誤魔化されねえからな」

「ケチ」


七草を刻んでいた包丁を置くと、ひとまず幸村をコタツに追いやる。
宅飲みの後ここで3人、雑魚寝をするのも毎度の事だ。



静かになった部屋は空き缶の山だらけで、ため息を漏らすと明日の備えを再開させた。








「起きろー!」

「ん…いてっ、ちょ騒がんで」

「…はよ…」


丸井が最初に目覚めるのも毎度の事。
そして仁王が二日酔いを訴えるのも幸村がどこか間抜けた挨拶をするのも。


昨夜は3人揃ってはしゃぎ過ぎた。
と言うのも、中学の頃から新年会は部活内で開催されていた。
そしてその都度いろんなハプニングや出来事があった。
そんな10年前からの思い出話に華が咲くのだから腐れ縁とは恐ろしい。


「とりあえず顔洗ってこい」

「やじゃー」

「コタツ直せねえから!」


コタツ布団を肩までかけて寝ていた仁王のせいで、位置がだいぶずれている。
早くつぶれた癖に酒抜けも悪ければ寝起きも良くないのだから困ったものだ。

そんな仁王を幸村が何とか引っ張り出し洗面所に向かっている間、コタツの位置を正すと朝飯を用意を始める。

今朝の朝食は勿論。



「ブン太、醤油貸して」

「ねえ焼き魚ないの?」

「仁王、七草粥に醤油足すな!幸村くんもさぁ…」


七草粥の風習をわかってないんじゃないだろうか。
正月に食べ過ぎた胃を休める為とも言われているこの食文化を。


「…2人してオレの作った飯にケチ付けるっつうならオレにも考えがある」


厳かにことりとお椀を置けば静かになる2人。


「次からオレの部屋では飲み会禁止な」

「えー」

「えーじゃねえよ。泊まった挙げ句オレがわざわざ作った朝飯に文句付けるならもう泊まらせないし」

「プリッ」

「もう、仁王が悪いんじゃん。醤油とか言うから」

「な、幸村じゃろ魚食いたいとか言い出してからに」

「…で?食うのか食わないのか」

「「っいただきます!!」」


互いに言い合いを始めた人に呆れつつ問えば、途端に手を合わせて食べ始めたから良しとしよう。


「それ食ったらさ、久しぶりにテニスしようぜ!他の奴らも呼んでさ」


ニッと笑えば幸村も嬉しそうに笑った。


「…俺二日酔いじゃけ見とる」


なんて、たるんだ事言い出した仁王は真田にでも任せよう。

そうと決まれば、元旦振りの一斉メールで連絡を。










おわり





由夜さん、お誕生日おめでとうございます〜!
いつもPGGネタが可愛くて楽しいです(^-^)

よくよく考えると足し算なお話を考えたのが初めてなので、こんな感じですみません;


由夜さんにとって素敵な1年になりますように。

由夜さんのみお持ち帰り可です。

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