※光の届かない夜の中

仁王は、時々泣く事がある。
泣くと言っても喚いたり涙を流すわけではなく、雰囲気として泣いてる気がする。



「なあ」

今日も情事後の気怠さの中、腕の中から呼び掛けてきた仁王は泣いていた。

「なに?」

そんな仁王をあやすように背中を撫でれば、静かに言葉を続ける。

「…今夜は月食なんやって」

そう言った仁王の表情は暗がりでよく見えない。

「ああ。そういやニュースで言ってた。晴れてるからよく見えるって」

いつもなら、月明かりが届く部屋の中。

「…月食って、太陽が月を隠すやろ」

「そうだな」

「…だから、」

今は、その月さえ見えない。

「…俺ん事も、全部ブン太で覆い尽くして…」

そう言って抱きついてきた仁王は、静かに涙を流した。








仁王はオレを太陽のようだと笑う。
対照的に仁王は月のようだと思う。
暗闇の中、人々が寝静まった静寂の時間に輝く。





「…は、っあ、…んっ…」

「…仁王、泣くなよ…」

「、…ブン、太…」

「何も、不安にならなくていいから…」

「…ンっ、…ぁ、ずっと、一緒におって…」

「ッ、オレが、お前を守るから」

「っあ、んァ…ゃ、も、…出ちゃ…っんん、…ふぅ…ん、んー…」

キスをしながら更に腰を打ち付ければ、絶頂を迎える仁王の中でオレ自身も弾けたのを感じた。






「ブン太は暖かいのぅ。太陽みたいにポカポカしよる」

「お前の中はすごい熱かったけど」

「…うっさいわ」

そうして腕の中から睨んでくる仁王の照れた顔を、月明かりが優しく照らしていた。










おわり。



後半寝呆けながら打ってました、すみません。

泣く仁王にトキメク今日この頃。

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