霜柱〜新春お年玉企画〜

「お、霜柱じゃ」

「え、どれ?」


年が明け、冬休みもまもなく終わる1月のある日。
幸村と初詣の為に訪れた神社の境内で珍しい物を見つけた。


ザクザク


「あー…」


踏みしめた音を鳴らせば残念そうな声をする幸村。


「何じゃい。まだそっちも溶けとらんぜよ」


幸村もザクザクしたかったのかと近くの足元を指し示した。
しかし。


「いや、シモバシラって名前の植物かと思ったんだ」

「俺がわかるわけないじゃろ」


そんな植物の名前は初めて聞いた。


「そうだった。冬になると地上に出てる枯れた茎部分に氷の結晶が出来るんだ」

「ほー。変わっとるな」

「まあ俺もまだ実際に見た事はないんだけどね」

「そうなんか」

「だけど写真で見てもすごくきれいで、自然界が作るアートなんだって」


目を輝かせながら楽しそうに植物の事を話す幸村は普段なかなか見れない。

と言うのも、いつもは育てている立場として話す為、防虫対策やら水やり、そして雑草むしりと、あまり関心がない俺には大変だと思う事ばかりだからだ。


「今度仁王にも写真見せるね」

「おん」


朝早くの待ち合わせは正直、今の時期とても辛かった。
けどまあ、こんな幸村が見れるならたまには良いかも知れない。






おわり

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