霜柱〜新春お年玉企画〜
ザクザク
もの珍しげに土を踏むジャッカルに頬が緩む。
「明けましておめでとさん、今年もよろしくな」
「仁王。今年もよろしく」
初詣に行く為、待ち合わせ場所に向かえば三ヶ日も過ぎた駅は人の数も落ち着いて来ていた。
「霜柱、珍しいか?」
「え?ああ。ブラジルじゃ見た事なかったからなぁ」
先程の仕草を思い出して問えば、ワクワクしたようにそう答えた。
「昔はもっとデカイのも出来ておもろかったんやけどな」
「へえ」
「しっかし最近じゃ霜が溶けた頃に起きるけんの。久しぶりに見たぜよ」
言いながらポケットに入れていた手を出すと口を覆い暖めるように息を吐き出す。
「お前手袋は」
「朝早かったから忘れたなり」
「ったく…」
コートのポケットに手を入れさせたジャッカルは呆れながらも嬉しそうに笑っていた。
(わざと忘れたん気付かれたか)
「ジャッカルの手あったかい」
「さんきゅ」
「頭はハゲとるけど」
「……」
照れ隠しにそんな事を言えば黙ってろとでも言うように繋いだ手を強く握られたのだった。
おわり
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