※赤い爪痕〜2012仁王誕生日〜
「っ、んっ…ぁ、ブン、太」
「何だよ」
「…もう、ちょい、ゆっ、くりして、くんしゃい」
「…」
仁王の誕生日は今年も期末テスト中で、学校は午前中には終わる。
早く帰って明日の試験勉強…なんて事はなく、昼間からオレは可愛い可愛い恋人に誕生日プレゼントを与えていた。
「ちょっ、んぁ!…ブンっ」
「……えっろいなお前」
希望通りゆっくりゆっくりと動き始めれば焦らすなと言わんばかりに締め付けるそこ。
「ブン太、っあ、痛っ」
あまりに仁王がエロくて可愛いからキスがしたくて、腰を浮かせると更に密着した。
「…ん、オレも痛てぇ…」
背中に回る仁王の腕。
腰に巻き付く仁王の足。
ぐしゃぐしゃな顔が満足気に微笑んだのを見るとラストスパートをかけた。
「お前、また足の爪伸びてるだろ」
「うまく切れんくて深爪するんじゃ」
下着を穿いて、行為の余韻にまどろみながら、ふと思い出す。
仁王は手だけじゃなく足でもオレを引っ掻く。
足出せ、と言えば仁王は素直にベッドから足を伸ばした。
「…伸びすぎだろ」
「最近ブン太切ってくれんかったし」
「自分でやれよ」
仁王は足の爪を切るのが苦手だ。
だからつい伸びたままになるらしい。
そんな事を初めて聞いたのは、部活中に指先が痛いと言い出した時だ。
それこそ、初めて抱いた時も必死に踏張ってベッドに爪を立てていた。
「ほらよ」
「ん、あんがと」
「あ、」
「どしたん?」
きれいに揃った爪先を眺めて思いついた。
不思議そうな仁王を尻目に部屋の中を物色する。
確かこの前見たんだよな。
「お♪あった」
「…それ姉貴のなんやけど」
「わかってるって」
見つけだされた赤いマニキュア。
布団から伸びてる足を掴むと1本1本爪に塗っていく。
「…くさい」
「窓開けてないし」
「開けて」
「寒いじゃん」
「暖房入れるから」
「開けると声漏れるかもよ?」
「……」
反対の足にも同じように。
仁王の白い足が赤く塗られていく。
「なんつうかさ、オレの物って感じ」
「アホ」
塗り終えた足を見て笑えば仁王は呆れていたけど万更でもないんだろう。
「……つうわけで、」
「なっ、」
足を覆う毛布を捲り取って。
慌てた仁王の声を無視して、今日何度目かもわからないキスをした。
おわり
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