※白と黒






普段の幸村は、器量は良い類に入ると思う。
しかし一歩コートに…ラケットを握りテニスの事となると別だ。
勝つ為には容赦をしない。

冷静に試合を運び、相手の五感を奪い、絶望を与える。


そんな奴を好きになるとは思いもしなかったが、縁あって今は恋人として付き合っている。



前に誰かが言っていた。
『テニスをしていない時の幸村は穏やかな人間だ』と。

しかしそれは、奴の本性を知らないからこそ言える憶測だ。

俺は身を以て、そう認識している。










「…ここ、気持ちいい?」


「っはぁ、やめ、」


「えー、やだよ」



楽しそうにそう言うと、幸村は再び俺の睾丸を口に含んだ。
飴玉を転がすように口の中で愛撫をされれば、俺の身体も、先走りを溢す自身も、面白い程ピクピク震える。



「ふふっ、素直じゃないな」


「あっ…ゆき、む…」


行為の度、幸村は執拗にそこを舐める。
しかも、犬のように自身の付け根に鼻を押しつけながら。


そんな刺激しか与えられないもどかしさに、俺は幸村の頭を掴んでいた。


「何?」


「も、こっち…」


「仕方ないなあ」


自身を指せば幸村もそこから口を放した。


待ちわびた刺激がいよいよ、そう思うと幸村に見つめられてるだけで快感が押し寄せてくる。


「ふふ、そんなに見られてるの好きだったっけ」


「違っ、ぁ…」


「そう言うわりにさっきよりふるふるしてるよ、これ」


握られて、仰け反った俺の胸に舌を這わせた。


「あっ、…んあ!や、」


「ヌルヌル…。仁王はホント…可愛いよ」



そう。
幸村は穏やかなんて人間じゃない。
普段から魔王気質ではあるが、事俺に対しては普段から「泣き顔が見たい」と言われたり、情事の時にはテニス以上にあくどいのだ。



「…ここ、欲しい?」


「っん、幸村…はよ、」


「あ、」


「…なん?」


「仁王もここの毛は真っ黒なんだね」


「なっ!?今更、つか当然じゃ…っあ、はぁ」


下腹部を撫でられるとゾワゾワとした感覚が身体中に流れる。
その瞬間、幸村自身が挿入され、俺は幸村の首に足を絡めると、適度に鍛えられている腿を掴んだ。
「痛いんだけど」と言いながらも律動を始めた幸村に、焦点の合わなくなってきた視線を向ける。
コートとは異なる汗を滴らせて微笑む姿が格好良く思えてしまうのは、惚れた弱みなのかもしれない。










おわり



仁王らしさが特にないですね…。

私が1番書きたかったのはどこでしょう( ´∀`)

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