聞いてくれるかな。
オレのこの3週間の夢みたいな話を。
笑ってくれてもいいよ。もちろん、気持ち悪いなって思う人もいるかもしれないけど。
それでもオレには、夢みたいだけど夢じゃない神様が叶えてくれた贈り物だったんだ。










「仁王〜メシだぞー」


コタツを捲ると愛しい愛猫。
寒いのか眠いのかほっそい体を丸めて気持ちよさそうに眠っている。






…実はこいつが、昨日まで人間でした。なんて言っても誰も信じねえよな。
本来は猫なんだけど、人間化した仁王の話によれば、誕生日プレゼントに何が欲しいかサンタに夢の中で尋ねられたのが始まり。オレはクリスマスに何が欲しいかって夢は見たけど、まさかこんなリンクをするなんて思いもしなかった。

それを叶えてくれたのかはたまたイタズラ心かはわからないけど、仁王は誕生日の翌朝、猫ではなく人間の姿に変わっていたんだ。


オレも信じられなくて、しかもオレより体格良くなってるのにフラフラ付き回るわ文句は言うわ…どうしてもいつもの猫の姿が思い描かれて…ついイライラして、「出て行け」って。仁王は何も言わずに出て行ったんだ。




心配だから早く探しに行くつもりが、翌朝目が覚めたのはお昼頃。
見知らぬ野良猫に導かれるように案内された公園で、オレが仁王にプレゼントした首輪を見つけた。仁王が近くにいる証拠だと思った。結局姿は見つからないまま帰宅したオレは、そのまま熱を出して寝込む事になったのだった。









―――――








聞いてくれるか。
俺のこの3週間の夢みたいだけど夢じゃない不思議な話を。




「仁王ーメシだぞー」


そう言ってコタツを捲ったのは俺の飼い主のブン太。
飼い主って何って、ああ、俺は猫なんじゃ。ぬくぬく寝ているとブン太は一撫でして再びコタツをかけた。


そんでな、俺は誕生日に欲しい物をサンタに尋ねられて答えたら人の姿にされたんが、誕生日の翌日。


ブン太は信じてくれんし、信じてくれてもいつもみたいに抱っこしてくれんし、メシは好かんわ、服はないわ。
朝から散々だったんじゃが…夜になってブン太を怒らせてしもうたんよ。
ブン太に「出て行け」と言われた俺は、その通り家を出たんじゃ。


まあ、ブン太に出会う前は野良猫だったけんのぅ、何となく進むと昔出入りしてた公園に着いてな。更に飼われてからも一時期付き合っとった彼女と再会なんて事もありながら夜は公園で過ごした。


翌日には戻るかと思えばさっぱりで、不審ぶりに騒ぐ子供達を軽くにらみつけて、野良に戻ろうと…本音はブン太に見つけて欲しくて、貰ったばかりの首輪を外すとメシを探しに公園を出たんじゃ。








公園を出て歩いとったらうまい匂いがしてな。近寄ってみたら店の中に見知ったワカメ頭がおったんじゃ。




―――――





聞いてくださいよぉ〜俺のちょう恐怖体験!!
いや、ホントマジでビビったんすよ!


いつもみたいに焼肉屋でのバイトが終わって帰ろうとしたら、丸井先輩から電話が来たんです…出てみたら無言だし…イタ電かよって思ったら唸るような声が聞こえて!
あ、これは恐怖体験じゃないっすよ?

で、気になったから先輩の家に向かおうとしたら!
出たんすよ、変質者が!
ハロウィンもとっくに終わったのに猫耳と尻尾付けた男が俺の事を「肉食わせろぉぉ」って追っ掛けて来て!
とにかく逃げなきゃって慌てて先輩んちに走ったんですけどそいつ追ってくるんですよ!
チャイム連打してる間も気が気じゃなくて、玄関開けてもらえた瞬間、丸井先輩に「うるせー」って怒られるし背後に猫男はいたしで気絶したらしいっす…。






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