「おばあちゃん、お見舞いに来たぜ」


仁王から遅れること数十分、花を摘み終えた赤ずきんが訪ねてきました。

ベッドには、おばあさんのずきんとメガネを付けた仁王が横になっていましたが、ブン太は気付いていないようです。



「ずいぶん遅かったのう」


「あー…わりぃ、一応、先に仁王に伝言頼んだんだけど。実は途中で花摘ん……あっ、いや、…この花母さんからのお見舞いっ」


寄り道を慌ててごまかすブン太がとても可愛くて、思わず虐めたくなります。


「どこかで寄り道して摘んで来たんやろ」


「ち、違うって!ところで仁王は?あいつ帰っちゃった?」


「……家には入らんかったぜよ」


「そっか…。あ、コレお見舞いのところてんな!あとケーキ!お湯沸いたら食べようぜ」


一瞬淋しそうに呟きましたが、すぐに笑顔で言いました。



「…甘いの嫌いだっちゃ。焼肉が食いたいナリ」


「えー…母さんからそんなの聞いてねぇしなぁ。体調悪すぎて好み変わったのか?」


困ったような表情をして赤ずきんが身を乗り出します。



「…ん?ずいぶん顔色が白いな」

ブン太の手が頬に触れます。

「……体調悪いからのぅ」

「それに髪の色も…」

ずきんからはみ出ていた後ろ毛を触りながら言われます。

「…年のせいじゃ」

「ふーん。それに、へんな訛りしてるし」


「ピヨッ…」
顔を覗き込まれ、うまい言い訳が浮かびません。





――――――







その頃花畑の近くでは、狩人真田と犬の赤也が、柳から赤ずきんとオオカミの事を聞き、おばあさんの家に急いでいました。
母親の幸村も、ジャッカルから伝わったらしく、真田達と共に向います。









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