「…ヤナギダさんは一体どこから現れたんじゃ」


「ヤナギダではないヤナギだ。…俺はこの家に付いている魔法使いだ」


「ほぅ…」


「お前もパーティーに行きたいのだろう?」


「人混みは苦手じゃき、焼肉が食えりゃそれでええんやけど。お前さん作ってくれるんか」


「ならばこのヤナギ、お前の願いを叶えてやろう」


少々話の噛み合いにくい人ですが、鉛筆を握ると床に何やら魔方陣を書き始めました。


「ちょっ、さっき掃除したばっかなんやけど…」


せっかくキレイにした床に落書きをされ怒りだすニオウを余所に、ヤナギは書き終えるとにやりと微笑みます。


「大丈夫だ、問題ない」


すると玄関のドアがノックされました。
ニオウが出てみると、そこにはまたも見知らぬスキンヘッドの男が立っていたのでした。


「俺は猟師のジャッカルだ。今からお城へ肉を献上しに行くんだが、馬が立ち止まっちまってよ」


「!!」


お城、そして肉と言う言葉にニオウはヤナギに振り返りました。


「俺も行ってええんか!」

「もちろんだ」


「…けど、着ていくドレスがないぜよ」


喜んだのも束の間、ニオウは自分の着ている服を見て再び落ち込みました。


「ドレスなら心配するな」


そう言ってヤナギが鉛筆をクローゼットに向けてサラサラと動かしました。


「開けてみろ」


ヤナギの言葉に恐る恐るクローゼットを開けたニオウの目に映ったのは、色とりどりの新しいドレス達でした。


「え、これ…!俺が着てええの?」


目を瞬きさせながら尋ねるニオウにヤナギは満足気に答えます。


「ああ、どれもお前のサイズに合わせて作られたドレスだ」


その中から悩みに悩んでようやく支度を終えたニオウは、ジャッカルと共に馬に跨るとお城へと出掛けて行ったのでありました。






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