『ニオウくん、こちらもきちんと掃除をしてくださいといつも言ってるでしょう。濡れ拭きしたなら乾拭きもしないと…それにここ、塵が残ってますよ!』

『ニオウ、お前こんな不味いもんオレらに食わせる気かよ。どうやったら丸焦げに出来るわけ?』

『ニオウさーん、ちゃっちゃと洗濯とアイロンやってくれませんかねぇ』

「すまんのぅ…今やるなり」





これは森の中のとある家の日常でございます。
この家には母親と娘三人が暮らしておりました。
母のヒロシは家事はもちろん姿勢から服装、髪型にさえ口うるさく、姉のブン太は料理の事になると食材や手際を見ては文句を言い、出来た料理には味が悪いだの盛り付けがヘンだのとダメ出しばかり。妹のアカヤは自分が頼まれた事をニオウに押し付けては遊びに出掛け、出来てない事に文句を言うのでした。


「おとんは、あんな鬼畜眼鏡の何が良くて再婚したんじゃ…」


ニオウは父親の写真を見てため息を漏らしました。
ニオウの本当の母親は小さい頃に病で亡くなり、その後男手一人で育ててくれた父親でしたが、娘のあまりの家事の出来なさを気に掛け数年前に再婚したのがヒロシでした。しかし、その父親も長年の疲労からか数ヶ月前に他界してしまったのです。


悲しみに耽る間もなく、ヒロシ達親子からの家事指導はエスカレートしたのでありました。



加えて、毎日のように出掛けるブン太やアカヤとは違い、ニオウは身なりを整える事も出来ずに毎日同じ服を着て、みすぼらしい汚れた姿での生活を強いられていました。彼女のキレイな銀髪もくすんで見えます。

街へ買い物に出掛けては、ニオウのその姿に家の中に隠れる者や、煤や埃で汚れた衣服に「灰かぶり」と指を指す者もおりました。










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