※猫仁王シリーズ








不思議な夢を見た。


サンタを名乗る人にクリスマスプレゼントの希望を聞かれた。

欲しい物っつうか、なればいいなってお願いを1つ。

どうせ夢だから言うだけなら良いだろう。


そしたらサンタは笑って消えてしまった。





―――――







不思議な夢を見た。
寒さのあまりコタツで丸くなっていた時だった。


サンタを名乗る相手に誕生日プレゼントの希望を聞かれた。

特に物欲もなく、強いて言うならうまい缶詰が食いたい。
と思った時、頭を過った事が1つ。
俺はそれをお願いする事にした。



サンタは『同じだね』とよくわからない言葉を残すと消えてしまった。








―――――





「仁王〜誕生日おめでとうー」

『ニャァ』



12月4日。
今日は俺の誕生日だ。


「これお前にプレゼントな。新しい首輪と缶詰」

『(ん?いつもと缶のパッケージ違うのぅ)』

「何だよ、もう食うのかよ?いつもよりいいやつ買ったんだから心して食えよ?」

『にゃあにゃー』



朝から旨い飯を食べて新しい首輪に変えてもらって、程よく眠くなったからコタツへ向かう。
そして寝入る直前に思い出した。
あのサンタとの夢の事を。


確かに旨い缶詰も考えたが実際に願った事はそれではない。

そもそもサンタなのになぜクリスマスではなく誕生日プレゼントなのか疑問だ。

やっぱり、単なる夢だったんかのぅ。





その日の夜、また不思議な夢を見た。

『ごめんよ遅くなって』

『誰じゃ』

『サンタだよ』

『……』

『何だその顔、信じてくれないんだね』

『お前さんエセじゃろ、俺は』

『酷いなぁ。こっちにも都合があるんだよ。大丈夫明日には叶うから』


それだけ言うと相手はまた消えた。








「ブンちゃん、腹減ったぜよ」

「…んー?…だれ…」

「仁王じゃき、なあブンちゃん飯まだかのぅ」

「…仁王って猫だし…つうか…今、何時…」

「おん、猫の仁王ぜよ。もうすぐ5時半なり」

「あーもうちょい待ってろ」





ブン太はそう言うと布団を被り直してしまった。
俺は俺で、今の自分の姿が信じられなくて一先ず起きて欲しいのだが。

仕方がない。
少し肌寒くなったからいつものように布団に潜り込む。


「…んー…何だよ…」

「…今日は狭いぜよ…」

いつもならすっぽりとブン太の腕に収まれるのだが今日は頭を入れるだけでいっぱいだ。

仕方がない。
潜るのを諦めて掛け布団の上で寝よう。
そう思い直して足元へ移動する。

「っくしゅん、さみぃ…あー重っ」

「……ブンちゃん」

「………誰だお前!?」


掛け布団が擦れた事で肌寒くなったブン太がようやく目を覚ました。


「おはようさん、仁王じゃき」











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