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その内、ニワトリが死んでしまいました。
赤也はまた豆の木に登り、お城に忍び混みました。
そして釜の中に隠れます。
やがてブン太と仁王が帰ってきました。
「ん?人間の匂いだ」
「朝ごはんの男の子の匂いじゃろ」
仁王は言いました。
ブン太は頷くと持ってきた金の竪琴に「ヒロシ、歌え!」と命令しました。
「♪レーザービーム!レーザービーム」
竪琴は美しい音を立てます。
竪琴の歌声に踊り疲れてブン太が眠った隙に、赤也は金の竪琴を抱えて逃げ出しました。
すると竪琴が叫びます。
「旦那さま、泥棒です!」
目を覚ましたブン太はあっという間に赤也に追い付きました。
赤也は素早く豆の木に飛び移り、スルスルと滑り降りました。
ブン太も豆の木を降りて来ます。
赤也は夢中です。
「この泥棒ワカメ小僧、捕まえて食ってやる!!」
家の真上にきました。
「ブン太!」
その時でした。
仁王がブン太を呼ぶ声がします。
「仁王?」
「ブンちゃん、夕飯の時間ぜよ」
その声にブン太が少しずつ豆の木を登って行きます。
「あんな、今日はデザートにケーキも作ったぜよ」
「へー、お前にしちゃ旨そうだな」
「おん」
「…んな顔で照れんなよ」
「照れとらんし」
「ったく、可愛いなお前」
ブン太が雲の上に戻り仁王とイチャイチャし始めると、赤也は慌てて豆の木を滑り下り、斧で豆の木を切り倒しました。
「赤也、こんな危険な事は止めて、真面目に畑を耕してくれ」
精市母さんの言葉に、それからの赤也は生まれ変わったように一生懸命働きました。
畑の脇では竪琴が美しい音楽を奏でています。
「いい音楽を聞きながら働けるなんて俺本当に幸せ者だぜ」
ある時、この国のお姫様サナが不思議な竪琴の噂を聞いて見に来ました。
「うむ、噂以上に良い音色だ。…ん?若いのになかなか精が出るな」
そして、働き者の赤也の事を大変気に入りました。
その後縁あって、二人は結婚する事になりました。
しかし玉の輿に乗った赤也は、また以前のようにサボり癖が始まり、その度にサナ姫から「たわけが!」と制裁を受けるのでした。
こうして赤也はサナ姫と幸せに暮らしたそうです。
おわり
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