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仁王は赤也を釜戸の中に隠してくれました。
人食い鬼ブン太は子牛を背負って部屋に入ってきました。
「あ?人間の匂いがする」
仁王は慌てました。
「昨日の晩、お前さんが食べた男の子の匂いが残っているんよ」
赤也は震え上がりました。
「あー、そうかもな」
プクとガムを膨らませ納得すると、ブン太は金貨の袋を二つ取り出しました。
「へへ、いくつあるかな」
ブン太は金貨を数えている間に眠くなって寝てしまいました。
赤也は、金貨の袋を一つ抱えると逃げ出しました。
豆の木をどんどん降ります。
話を聞いた精市母さんは
「無事で良かった。だけどもうそんな恐ろしい事はしないでくれ」
と言いました。
しかし赤也はサボっては遊んでばかりいて、そのお金をみんな使ってしまいました。
元のように貧乏人になった赤也はまた豆の木に登りました。
「おや、この間の」
仁王が目を丸くします。
「金貨の袋を持って行かなかったろうな」
「そんな事してないっスよ。この間の虫除け持って来たっス」
ぐーきゅるるるる…赤也のお腹が鳴りました。
仁王は呆れながらも、またごちそうしてくれました。
その時、ドシンドシンと、ブン太が帰ってきました。
「さあ、早くこの中へ入りんしゃい」
仁王は赤也を釜戸の中に隠しました。
ブン太は抱えてきたニワトリに命令しました。
「金の卵を産め!」
するとニワトリはピカピカ光る金の卵を産んだのです。
ブン太はまた眠り始め、赤也はその間にニワトリを盗み出しました。
赤也は早速精市母さんの前でニワトリに金の卵を産ませました。
精市母さんは、「危ない事はやめるんだ。畑を耕せば暮らして行けるんだから」と言いましたが赤也は言う事を聞きませんでした。
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