猫仁王シリーズ〜赤也の災難〜
こんにちは、赤也っす。
丸井先輩んちには仁王くんと言うグレー掛かった白猫がいます。
「丸井先輩!」
「おー、赤也。何?」
「猫、元気っすか?」
「元気だぜー、食が細えのは相変わらずだけどな」
「久しぶりに見に行っていいっすか?」
「おう」
―――――
「仁王、ただいまー」
『ブン太おかえり』
「はは、寝てたのかよ?」
『にゃあ』
「今日はお前に会いたいって奴連れてきたからな」
『…誰じゃ、めんどくさい』
「おじゃましまーす…あ!仁王くんだ」
『……ワカメ』
「先輩、何か俺すげえ睨まれてるんすけど…」
「んな事ねえよ、寝起きだから目きついだけだって」
「そっすか?やっぱり可愛いなー仁王くん」
『…ホンマお邪魔じゃお前…』
「イッタ!」
「何だよ」
「頭撫でようとしたら急に手出された…」
「バーカ、あんま知らない奴が頭撫でるからビビったんだよ、まずはこうやって」
『うにゃぁ〜』
「そっか、顎撫でるんすね!うわー仁王くん気持ちよさそう!」
「な?」
「はいっ!…仁王くーん…」
『…気安く触るなや』
「っ!アタっ」
「ははっ、まだ警戒されんてんな」
『…ブン太のアホっ』
―――――
「マジで今日泊まっていいんすか?」
「おう。明日も休みだし、たまにはゆっくりしてけよ」
「ありがとうございます!」
「じゃあまず飯にするか」
「俺も手伝います」
「おう、シクヨロ」
「うまそっすね」
「まあなぁ」
「俺先に手洗ってきますね」
「りょーかい。っと、仁王も腹減ったよな?」
『にゃー』
「ちょっと待ってろよー。今こっち片したらやるからな」
『なあブンちゃん、あいつ今日帰らんの?』
「ん?足元来ると危ねえぞ」
『…今日は俺とは遊んでくれんの?』
「なんだよ、そんな腹減ってたのかよ」
『違うんに…』
「先輩、飯食いましょ」
「そうだな」
「…あーっ!」
「どした?」
「俺のお皿の肉がなくなってる…」
「はあ?」
「先輩酷いっすよー、人のつまみ食いするなんて!」
「オレしてねえし」
「えー…じゃあ誰が…」
『美味かったぜよ♪』
「そういやコイツ肉好物だったわ…満足気に顔洗ってるし…。…悪ぃ、オレの分けてやるから我慢しろって」
「…はい」
―――――
「っんー…?」
『ブンちゃんは俺のもんじゃ』
「…誰…」
『このワカメ野郎め』
「……ぶっ潰す!」
『っビビったぜよ…さっきまで爆睡しとったんが、突然尻尾掴もうとするとは』
「んー…朝からうるせー!」
「…えっ?あっ、すんません。…おはようございます先輩。…そういえば仁王くんが」
「仁王がどうした」
「昨夜一緒に寝たら、俺の顔の上で丸くなったり、髪戯れついてて痛かったっす…」
「ワカメだから魚の匂いでもしたんじゃねえの?」
「ヒドッ!」
「冗談だって。飯支度するから待ってろ」
「…はい」
―――――
「じゃあそろそろ帰るっす」
「また来いよ」
「はい。……っ!?」
「何靴見て立ち止まってんだよ」
「…俺仁王くんに嫌われたんすかね…」
「…ははは…かもな……」
『〜♪(トイレ中)』
「赤也、ごめんな…」
「……」
―――――
『ブン太、今日は一緒に寝れるよな?』
「仁王、そろそろ寝るぞー」
『んにゃ』
「…お前赤也嫌いなのか?」
『あのワカメ、ブンちゃんとの時間邪魔したからじゃ』
「あいつへこんでたぜ」
『……俺はいつもみたくブンちゃんの布団で寝たかったんよ。それなんに、俺を抱き枕みたいに…』
「やっぱお前と寝ると温かいな」
『俺もブン太とおると温かいなり』
「…また他の友達来ても次はイタズラすんなよ?」
『ブン太が俺の事放っといたのが悪いんじゃ』
「ははっ、くすぐったいって!」
『んにやー』
「仁王、おやすみ…」
『ん』
―――――
「あれ?昨日忘れ物でもしたか?」
「丸井先輩、これ!仁王くんに…」
「何だよ」
「猫じゃらしっス!これで俺もちょっと懐いてもらえたらなーと」
「ばーか、こいつはオレ大好きだからそんな物じゃ釣れないって。なあ仁王?」
『まったく、アホじゃコイツ』
「…なんつうか…お邪魔しました」
おわり
prev | next