3(おまけ?)



「っていう劇を今年の文化祭でやったよね」





今年もハロウィンがやってきた。
テニス部では毎年9月の海原祭で演劇を発表している。
その為、ハロウィンの仮装にかけてか劇での衣装姿が再び見たい!と校内から要望されているのだ。



写真を眺めながら、幸村が楽しそうに笑う。


「毎年、部長が作・演出なんだよな」

「て事は来年赤也かよ?ちょー不安なんだけど」


幸村の言葉に、ジャッカルとブン太が相槌を打つ。



「それにしても、お前は本当に悪役が似合うな…」


後ろで話を聞いていた柳が口を開いた。


「えっ、そうかな♪」


「褒めてはいないんだが…」


柳の言葉に笑顔を向ける幸村に、みんな呆れるしかなかった。





「それにしても、柳生先輩はいっつも閉じ込められてますね」


思い出したように赤也が言った。


「……そうですね」


「えっ、何か機嫌悪いっすか?」


「恐らく、紳士的な自分がなぜこうも体当たりな役ばかりなのかを考えているんだろう」


「似合っとるけどな」


「仁王くんはオオカミや王子役ですからそんな事が言えるのです」


「つうか、何でオレ赤ずきん役でオオカミに食われちゃってんの?普通オオカミやっつけて終わりだよな。って、仁王重いから退けよ」


「そんな照れなさんな、ブン太もノリ気だったくせにー、イッタっ!」


ブン太の首に腕を絡めて後ろから抱きついていた仁王は、脇腹に肘鉄をくらった。


「あー、あれは仁王にアドリブ任せたらああされたんだよね」


「仁王先輩役得じゃないっすかー!」


「ぴよっ」


「まあブン太も嬉しそうになりきってたよね。キスするフリって台本書いたはずなのに本当にしてたしさ」


「幸村くんっ!」


「出し物の人気投票はダントツトップだったけどさー」


「ところで、さっきから真田が黙ったままじゃねえか…?」


「……」


幸村のぼやきを恐る恐る区切ったジャッカルの一言にみんなが振り向けば、いつにも増して険しい表情の真田が。


「真田先輩?」

「俺も、女装はさすがにやり過ぎたと思ってるんだ……おもしろかったけど」

「幸村くん、顔が笑ってます!それにフォローになってないですよ!」

「確かにあれはなかなか貴重なもん見たぜよ」

「そう気ぃ落とすなって!」

「…弦一郎」





「…うむ、たまらん女だ!」



口々に励ましていたメンバーを余所に、真田は満足気に自分の女装写真を眺めていた。






「そういえば何で白石さん出てきたんすか?」


「ちょうどこっちに遊びに来てたみたいだから、友情出演してもらったんだ」


「へー。ところで、オレ毎回ヒロイン役だけど今度はヒーロー役やりてえよ、幸村くん!」

「わかった、考えておくよ」

「ブン太がヒーローなら、俺がヒロイン役やね。王子様助けてくんしゃい、ってな」


「キモい、まあ助けた後売り飛ばせばいっか」


「ブンちゃん俺を何だと思って…」


「…えー、お前詐欺師な時点で悪役だろぃ?」


「…プリッ」





「お前も本当は主役がやりたいのかジャッカル…」

「柳か。ああ、出来るならやってみてえけど俺にはあいつらみたいな華はねえからな」

「桑原くん何を仰って…私は紳士でありながらあのような…」

「(充分だろ…俺なんか木と少年1だっつうの)」

「弦一郎は随分と楽しそうだな」






「みんな、準備は出来たかい?」

『イエッサー!』





『Trick or Treat?』



ブンちゃん、今年もたくさんお菓子貰っとるね。

まーな!これでジャッカルの誕生日までは困らねえよ♪

…え、3日で食い終わるんソレ?








おわり

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