2(完)

パーティーの夜です。





女王蓮二と王子の前で、6人の結婚希望者が踊っています。

王子はこの中から相手を選ばなければならない事になっていました。




「雅治、あの少々老け顔だが長身の彼女はどうだ?」


隣に座る女王が1人を指し耳打ちします。


「あんなごついのは好かん…」


しかし聞こえていたらしい当の本人は、王子に好意を寄せている為

「うむ、やはりたまらん男だ!」

とご満悦のようです。



「良かったな雅治」

女王は楽しそうに微笑みました。

「…困ったぜよ」






王子はブン太を待ちました。


6人の踊りが終わった時、王子は言いました。


「俺にはもう、決まった人が別にいるんじゃ。すまんが帰ってくれんかの」


あまりのショックに「キエェー!」と奇声を上げる者もいましたが、6人は怒りながら帰って行きました。



その時ラッパが鳴り響き、可愛らしい少年が入ってきました。


「ブン太!」


王子は駆け寄って手を取ると、みんなの前で言いました。


「俺は、このブン太と結婚するぜよ」


2人が踊り始めた時、ブン太の声が響きました。


「雅治、そいつは幸村の手下だ。オレの偽物だ!」


王子は驚いて2人を見比べました。


「しまった、騙されたか!」


「ばれたようだね。だけどもう遅いよ。王子はこいつに結婚すると約束してしまったんだからね」


柳生に化けていた幸村と、手下の赤也が元の姿を現しました。


「俺と結婚してくれるんすよね?」


「お前とはせんよ」


「俺の事騙したんすか!?」


赤也が詰め寄ります。


「…俺はワカメが嫌いなんじゃ」


「…ワカメって、誰の事言ってんだよ?」


赤目になった赤也が王子に襲い掛かります。



「俺は好きやで?その髪型」

しかし突然聞こえた別の声に、赤也はおとなしくなると笑顔で離れました。

声の方を振り向くとパーティーに招待されていた王子の友人、蔵ノ介でした。




「…ところで、お前いつの間に柳生に?」


赤也から解放され、ようやく魔法使い幸村に問い掛けます。


「そんな事は簡単さ。俺とお前と柳生しかレーザービームは出来ないんだからね」


「…意味がわからん」



柳生も心配ですが今はブン太が最優先です。


「うーん。もうブン太を助ける事は出来んのか…」



人間に戻れなくなったブン太は、悲しみに沈んで森まで帰りました。


「待ちんしゃい。ブン太、俺は本当にお前を愛しとるんじゃ」


王子はそう言うと、ブン太の後を追いました。








森では、ジャッカルがブン太の帰りを待っていました。

朝になっても人間でいられると思いながら…。



そこへブン太が戻って来て、訳を話しました。

ジャッカルは怒りました。


「ブン太、お前騙されたんじゃないのか?あの王子、実は家来と組んで詐欺まがいな事やってるって噂だぜ?」


ブン太は絶望のあまり短剣を抜いて、自分の胸に刺そうとしました。


「何しとるんじゃ、やめんしゃい!」

駆け付けた王子が、ブン太の手から短剣を叩き落としました。


「ブン太、諦めちゃいかんよ。俺が必ず魔法使いをやっつけて、魔法を解いちゃる」


「ダメだ、雅治、魔法使いが死ぬと、反って魔法は解けなくなってしまうんだ。…つうかお前、オレの事騙してねえよな?」


「何言うとるん?」


ブン太は不審げに言うのでした。





その時突然、バタバタとフクロウが襲ってきました。

そして鋭いくちばしで王子の足に噛み付きました。



「おのれ、魔法使いめ!」


王子はフクロウに切り付けました。
フクロウは死んでしまいました。



「しまった、殺しては魔法を解く事が出来ない!」


王子の叫びに、ブン太は崖の上に駆け上がり、湖に身を投げてしまいました。


足に怪我をしていた王子は止める事が出来ず、自分も足を引きずって登りました。

「ブン太、お前を1人で死なせたりはせんよ」


王子は高い崖の上からブン太の後を追って、湖に身を投げました。

残されたジャッカルは嘆き悲しみました。









やがて、朝になりました。



朝日がさしてもジャッカルは子豚になりません。


「魔法が解けたのか!ファイヤー!」

ジャッカルは叫びました。


その目の前に、王子とブン太が手を取り合って、水の中から現れたのです。


「王子、ブン太!」

王子の愛の心を神様が知って、2人を助けてくださったのでした。



「神様、ありがとな。ジャッカルも…心配かけたな」

「ブン太、幸せになれよ!」

「おう!」



雅治王子とブン太は、神様に結婚を誓いました。
こうして2人は結婚し幸せに暮らしましたとさ






めでたしめでたし。

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